Q4.「ハーバード大学のような元々ブランドのあるサイトがFacebookを利用する意味はなんでしょうか?」
質問者
「ハーバード大学は誰でも知っている素晴らしいブランドを築き上げていると思います。なぜFacebookを使う必要があったのですか? また、Facebookを活用したことによってどのようなメリットがありましたか?」
ハーバード大学のペリー・ヒュイット氏
「ハーバード大学というと大学名、大学施設、または所在地を連想する方が多いと思います。つまり、『大学名もしくは、場所としての認知が高い』状態にあります。しかし、私たちはハーバード大学内にいる『個人』やその個人が行う『活動』についてももっとアピールできないかという課題を持っていました。ソーシャルメディアは『人』という側面のハーバード大学を表すことが可能なメディアなので、課題解決に向いているメディアだと感じていました」
また、ベリー・ヒュイット氏は学生の動向にも変化が起こっていると感じていたという。

「生徒やキャンパスでの活動もここ2~3年間で大きく変わっています。キャンパス内の学生はモバイルでソーシャルメディアを使い動画にアクセスしています。今年は学内の40~50%のトラフィックが動画でした。数年の間には80%まで伸びるのではないでしょうか。ソーシャルメディア、モバイル、ビデオはそれぞれがお互いに補完しあう存在として、我々のマーケティング活動の戦略的に重要な柱になっています」
「ブランドやコンテンツについて語られているユーザー同士の会話に耳をかたむけることができるのは貴重な経験です。次にどんなコンテンツを出すべきか、という質問に対する答えはそこにあります。ハーバード大学のウェブサイトは1200万ページがあり、ハーバード大学独自の貴重なコンテンツがたくさん眠っている状態です。しかし、ユーザーにとってどれが優良なコンテンツかはユーザーから聞くしか方法がないのです」と、ソーシャルメディアでの対話の重要性とそのメリットを語った。
最後に各パネラーからソーシャルメディアを企業のマーケティング活動に活用したい来場者に向けメッセージがあった。印象的なのは次のコメントだ。
「ソーシャルメディアを使ったマーケティングの敷居は低いです。ユーザーに取って有益になるコンテンツを提供するという点においてはOwned Media(オウンドメディア)でもEarned Media(アーンドメディア)でも何ら変わりません。ユーザーのためになるコンテンツがあればトライ&エラーで試行錯誤してでも、はじめることが重要ではないでしょうか」
ソーシャルメディアという過去の人類が体験したことのないメディアが、影響力を持ちはじめている昨今、マーケティングの在り方も急激に変化しつつある。先進的と言われる海外企業も試行錯誤を行っている状態というのが印象的であり、各社のソーシャルメディアへの取り組みの“本気度”が伝わってくるセッションとなった。