広告テクノロジーの進化とどのように向き合っていくべきか
(1)広告テクノロジーの進化による取扱いデータ量は増加する
前述のように、広告テクノロジーの進化に伴い、取り扱うデータ量も急激に増加している。
我々の主力領域であるリスティング広告の例で説明すると、感覚的にではあるが、5、6年以上前は数百キーワードの取り扱いが、3年前には数千キーワード、現在は数万キーワードまでに増えているのだ。さらには、アトリビューションマネジメントと呼ばれる、複数のチャネル間での間接的な貢献効果を分析し、広告費の投下額を見直すような手法まで注目を浴びている。
つまりは、広告間でのユーザー行動をデータとして保持し、それを分析することでより良い広告プランニングを実現していこう、という流れである。この場合、必然的に分析するデータは増加し続けることになる。
(2)これからはデータマネジメントがデジタルマーケティングの"キー"になる
結論から言おう。これからは、様々なマーケティングデータを統合管理し、それらをナレッジ化して統合最適化をいかに図っていけるかが、デジタルマーケティングにおけるKSF(Key Success Factor)になる。
もう少し詳しく説明すると、前項での記載の通り、多様化するターゲティング手法、チャネル、デバイスに対応するにつれて、データボリュームは増加し続ける。それらのデータが別々に管理されていたのでは、気づいたときには収集ができなくなっているだろう。
従って、データを一元的に管理し、いつでも欲しい情報が取り出せる状態、これをデータが統合管理されている状態(=統合管理)と捉え、実現する方法を早急に検討し始めなければならない。
次に、統合管理されたデータを読み解く必要がある。膨大なデータを単純に管理した統合管理状態から、それぞれのデータを分析軸や分析手法を元にドリルダウンして分析するのだ。
または、相互の関連性をアトリビューションマネジメントなどの手法を活用して分析し、かつ、それらを次の施策に展開できるナレッジを、抽出して活用できている状態(=統合最適化)を築く必要がある。
(3)マーケティング組織の再編も視野に
上記(2)で説明した状態に移行し、PDCAサイクルを展開していくためには、場合によってはマーケティング部隊の組織構成自体を見直す必要も出てくる。たとえば、現在、広告チャネル毎に個別最適を行っている組織の場合、広告テクノロジーの進化により起こり始めている波に乗り遅れる危険性がある。
それぞれの広告のKPI(Key Performance Indicator)を定義し、データを分析して、各組織の末端まで目的と指示がシームレスに行き渡る組織を作ることが、近い将来必要となってくるのではないか。