【事例3】
企業サイト内の行動でポイントがもらえる「サムスン・ネイション」
- サイト名:Samsung Nation
- 運営会社:Samsung USA
サイト概要
2011年11月にサービスを開始した「サムスン・ネイション(Samsung Nation)」は、サムスンの米国法人が提供する「ソーシャルロイヤリティ・プログラム」です。グローバルな家電メーカーとしては初めての試みでもあり、リリース当時には海外のニュースサイトでも取り上げられるなど注目を集めていました。
ゲーミフィケーション要素
ここでは、コーポレートサイトを訪れた人のサイト内での行動に対してバッジが付与されるしくみになっています。製品情報ページや動画などのコンテンツ閲覧、Q&Aへの質問や回答、ソーシャルメディアへの共有といった行動が対象となり、それらの行動に対してポイントが付与され、獲得ポイント数でのランキングも用意されています。
ユーザーがバッジを獲得した際にはサイト内でのアクティビティが共有されるといったソーシャル性もあり、それによってサムスン・ネイション内にどんなバッジが用意されているのかを、簡単に知ることができます。また、マイページ(サムスン・ネイションでは「My Rewards」)を見ることで、新たなバッジを獲得するために何をすればいいのかが可視化されます。その先に何をしなければいけないかを、あえて見せないようにしているのは可視化の工夫といえます。
このサイトでは、報酬要素としてサムスン製品が当たる懸賞も用意されており、本記事執筆時点では、「Streamer3.0」というバッジを獲得したユーザーの中から抽選で3Dブルーレイディスクプレイヤーがプレゼントされます。こうした報酬はサムスンならではですね。
この事例からの学び
サムスンという大手メーカーが自社のコーポレートサイト全体にゲーミフィケーションを導入したこの事例は、規模だけでなく、その意義からも大きな事例といえるでしょう。バッジ数は記事執筆時点で確認できる限り70以上も用意されており、長期にわたって継続アクセスしてもらうことを想定したつくりになっていることがわかります。
ゲーミフィケーション・デザインの観点で見ると、バッジを獲得したタイミングでユーザーにフィードバックがないため、獲得したかどうかをマイページに見に行かなければわからないという点は改善の余地が大きいと感じました。逆に、リアルタイム・フィードバックの重要性が感じられる事例ともいえるでしょう。今後、どのような頻度でバッジを追加するなどの運用を実施していくのか注目してみていきたい事例です。
以上、今回は3種類の事例を紹介しました。国内では明確にゲーミフィケーションを取り入れたウェブサイトは多くはありませんが、2012年は数多くの事例が登場することになるでしょう。筆者も今年は“ゲーミフィケーション元年”になると考えており、米国に負けないよう市場を盛り上げていきたいと思います。皆さんからの事例報告も筆者のサイト「gamification.jp」で受け付けておりますので、もし共有できる事例があればぜひお知らせください。