続いて紹介するのは、テクマトリックス株式会社 CRMソリューション営業部 木原 満博氏。「ソーシャルが拓く、新時代のコンタクトセンターとは」と題し、ソーシャルメディアがコンタクトセンターに与える影響と同社が提供するFastシリーズの活用方法について解説した。
ソーシャルメディアがもたらした新しい“ゴール設定”
「最近までコンタクトセンターといえば『顧客満足度の向上』が目標であったが、ソーシャルメディアの普及により、昨今では『顧客ロイヤリティの向上』という言葉が使われるようになった。さらにゴールとして『アドボカシー(擁護)』が設定されていることも多くなってきている」と語る木原氏。
「アドボカシーとは、単なる製品やサービスのファンになっただけでなく、第三者に推薦してくれる状態のことです。つまり熱烈なファンと言えるでしょう。顧客をアドボカシー状態にするのは、コンタクトセンターだけでは難しく、顧客開拓や売上向上のために企業としてアドボカシー状態の顧客を作っていく必要があるでしょう」と木原氏は語る。
CCM(カスタマーコミュニティマネジメント)の時代が到来
時代とともにコンタクトセンターの姿も変化を遂げてきた。1990年代くらいにコンタクトセンターが開設されるようになり、「対話による解決」が図られるようになった。そして2000年台になって自動音声やFAQが整備されるようになり、「自己解決」型のコミュニケーションが取り入れられるようになる。
さらに2010年頃からソーシャルメディアの利用者増加によって、「コミュニティによる解決」が本格化してきた。「これまでは、お客様の声に対応することがコンタクトセンターの役割でしたが、これからはお客様のいるコミュニティに自ら入って、お客様の声を探しに行かなければなりません。コンタクトセンターが窓口となり、FacebookやTwitter等のコミュニティとしっかり向き合ってサポートしていく姿勢が大切です」と木原氏は語る。
続いてソーシャルCRMの実現に向けて、課題と解決策について見ていこう。
このように目的に応じて担当している部門が異なっているので、社内に壁ができていると木原氏は指摘。ソーシャルメディア上では従来以上に迅速で柔軟な対応が求められる。「専門窓口でのSLA管理をするか、あるいは社内横断の情報インフラを構築することが重要です」(木原氏)
加えてソーシャルメディアでは電話やメールと異なるマナーやルールが存在する。既存チャネルとの棲み分けを明確にしておき、社内で統一した運用ルールやマニュアルが必要であると木原氏は説いた。
FastシリーズのソーシャルCRM機能
最後に、木原氏はテクマトリックスが提供するコンタクトセンターCRMソリューション「Fastシリーズ」に追加されたソーシャルCRM機能について紹介した。
SNS自動受信機能
管理機能で設定した接続先SNS(Facebookページ等の特定のURLや、Twitterアカウント)から自動で投稿・コメント等の情報を取得することが可能。
マルチチャネル機能
既存チャネル(電話、eメール、FAX、Web等)と同様に、SNS自動受信機能にて取り込まれたFacebookの投稿・コメント、及び、Twitterのツイート・返信情報等は1件のコール(コンタクト)として取り込まれる。また、SNSを含む各チャネルからのコールを顧客に関連付けて履歴を一元管理することが可能。
クロスチャネル対応
1件の投稿・コメント・つぶやきに対して、チャネルをまたいで応対することが可能。既存チャネルでも電話での問合せに対しeメールで返答する場合があるが、本機能により、投稿・コメント・つぶやきに対して電話対応に誘導したり、eメールで個別に対応したりする場合でも、一連の対応履歴を管理することが可能。
承認ワークフロー
SNS上のお客様の声(事案)の内容に応じてワークフローを複数定義することが可能。事前に設定されたワークフローを利用することにより、社内の部門を横断するような事案処理の業務効率化と事案処理漏れ防止を強力に支援する。
危機管理機能
予め指定した危機管理キーワード(NGワード等)が登録されると、管理者・経営者等に自動的にアラート通知を行う。SNS上のお客様の声から、危機の予兆を察知するのに有効。
メール反響分析機能
一斉配信したメールの開封確認・クリック確認・SNSサイトへの誘導後の足あと履歴のログ取得が可能となる。配信したメールに対する顧客の反響を自動的に集計・解析することで、メール配信業務を効率的に行える。(※別途メールアウトバウンドオプションが必要。)
レポート機能
SNSを含むチャネル毎の件数、担当者毎の対応件数、承認件数、問い合わせ区分(カテゴリ)毎の件数、対応完了までに要した平均処理時間等のレポートを標準機能として提供。また、クロスレポートオプションを利用することにより、クロス集計レポートを作成することも可能。
セルフカスタマイズ機能
項目の表示/非表示、表示位置、ラベル背景色、必須項目チェック等、画面レイアウトをプログラムレスで柔軟に変更することが可能。画面毎により細かい項目設定ができるようになったため、業務に応じた画面設定をより柔軟に行うことができる。
「SNSが急速に発展するともっと能動的にコミュニティの会話を通じてロイヤリティの醸成やブランド価値の向上がコンタクトセンターの役割として求められる機会が増えています。ソーシャルメディアがメディアやチャネルとして信頼性を確立しつつある現状を理解し、顧客接点を増やす重要な機会であると認識した上で、顧客を中心として、一環した顧客対応をしていくことが大切です」と語り、木原氏は講演を締めくくった。
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