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歪みが生まれても、それ以上に事業部制には利点が多い

 事業部制だから歪みが生じているとしても、事業部制を変えるわけにもいかない。事業部間で共通している業務は一見すると多いようにも思われるが、商品を仕入れる業務を切り取ってみても、ECの事業では商品を見極めるバイヤーの役割が求められるのに対して、ゴルフ場予約の事業ではゴルフ場の運営者から信頼を得るために足繁く通うフィールド営業の動きが必要になる。

 また業務自体は同じでも、必要なノウハウはまったく別物になることもある。例えばECとゴルフ場予約とでは収益構造が異なる。リスティングやアフィリエイトの広告を運用するにしても、コンバージョン獲得に掛けられる集客/販促費の単価が大きく違ってくるため、同じように予算配分するわけにはいかない。キャンペーンを企画するにしても別の発想が必要になる。

 GDOでは事業部制になってからも、しばらくは集客/販促の機能を集約していた。だが、そうした理由から事業部ごとに分割した方が効率的と判断し、事業部ごとに集客/販促の機能を持たせるようにしたのだと中澤氏は語っている。

 「集客/販促の予算は、各事業部の計画に基づかないと決められませんし、各種キャンペーンと連動させることも多かったのです。事業部との連携を高めるために各事業部で集客/販促の機能を持つようにした結果、縦のラインにおける意思決定・連携は飛躍的に向上し、リスティングやアフィリエイトをより迅速かつ効率的に運用できるようになりました」

“縦”の効率性を優先した結果、薄れてしまった“横”の連携

 だが、集客/販促機能を完全に事業部へ組み込んだことで、組織内でも個別最適の悪い面が目立つようになったと中澤氏は感じている。

 「事業部間の“横”の情報共有のために企画書の共有を進めようとしても、企画書は本来、事業部責任者の承認を取り、仕入れ担当者に必要な商品手配を依頼し、制作担当者にクリエイティブのコンセプトを伝えるために使われます。自然と事業部の“縦”のラインを考えて企画書を作るようになり、“縦”で使いやすいよう独自に進化してしまいます。だから“横”で同じ形式で統一するのが難しく、数字でKPIを共有するのが精いっぱいでした

 それでも中澤氏が強権を発動すれば、企画書のフォーマット統一など、業務運用ルールを定めて強制することもできたかもしれない。だが、それでは余計な手間ばかりが増えてしまい、生産性が落ちてしまう。

 フォーマットを統一することで、情報を共有することで、目に見えるメリットがあるのなら、それでも社員には納得してもらえるかもしれないが、「目に見えるメリットはアウトプットしにくい。頭の中で『“横”の共有を進めることで得られるアウトプット』はイメージできていたのに、その環境を構築するのが至難で着手できていなかった」と中澤氏は自省している。

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“横”の共有を進めることで、戦略的なマーケティングが可能になる

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この記事の著者

中嶋 嘉祐(ナカジマ ヨシヒロ)

ベンチャー2社で事業責任者として上場に向けて貢献するも、ライブドアショック・リーマンショックで未遂に終わる。現在はフリーの事業立ち上げ屋。副業はライター。現在は、MONOistキャリアフォーラム、MONOist転職の編集業務などを手掛けている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2012/09/28 13:08 https://markezine.jp/article/detail/15498

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