既存コンテンツを有効利用しアプリを作成
App Cloudを使う場合、自社オリジナルのデザイン・構成を決めてしまえば、コンテンツは既に持っているCMSやブログ、画像データベース、TwitterなどのフィードやAPIのデータを自動的に取り込むアプリを作成できる。もちろん、BrightcoveのVideo Cloudと連携して動画配信することも可能だ。
ほかにもGPSやQRコード、プッシュ通知を使った機能を付加することもできる。コーヒーに関するアプリなら、「金曜日にコーヒー1杯が無料」になるクーポンを用意してQRコードで読み取れるようにしたり、現在地の半径500メートル以内にある系列店の場所を表示したり、東京にいてアプリに1週間アクセスしていないユーザーを対象にしたプッシュ通知で「あなただけの限定サービス」を訴求したりすることもできる。
App Cloudのサービスは月額課金制のSaaS型。テストまでは無料で試すことができて、本番環境へリリースするところから費用が発生する。その金額を年間に換算すると、iPhone向けかAndroid向けの標準的なアプリを1本開発するのと同程度になるという。
アプリから「誘導・売上を増やす」ことがゴール
だが、App Cloudの真骨頂は開発部分の費用・労力を抑えられるところにあるのではなく、運用以降のフェーズにある。突然Twitterなどのコンテンツ連携先が仕様変更することもあれば、iOSやAndroidなどのプラットフォーム自体に変更が発生することもある。そうなると変更があるたびにせっかく開発したアプリにもバグが発生してしまい、新しい仕様に都度対応しなくてはならない。
SaaS型のApp Cloudでは、当然そうした仕様変更には即座に対応。利用企業側が対応する手間を省いてくれる。
そのほかにも画像の圧縮・サイズ調整や、コンテンツフィードのうち不必要な情報が含まれているフィールドの削除等まで行い、最適化してくれる。アプリは軽快に動作するようになり、ユーザーにストレスを与える心配もない。
また広告配信やログ解析の機能も備え、リリース前にテストする機能も充実している。現時点で日本企業の多くでは「アプリを開発してリリースすること」がゴールになっているが、今後は「アプリからどれだけ誘導・売上を増やすか」に焦点が移るはず。
そうなってくると、エンジニア抜きでマーケティング担当者だけでも、ある程度の開発・運用ができるのはApp Cloudの大きな利点。解析や広告枠の追加・変更といったマーケティング関連の修正を手早く済ませて、マーケティング担当者のペースでPDCAを回せるようになるはずだ。
ワトコット氏は最後に興味深いデータを紹介。今後ますますスマホ/タブレット向けアプリの重要性が高まると予見している。
「アメリカでは2011年から、Webブラウジングに使う時間よりもアプリに費やす時間が多くなりました。Webブラウジングが著しく減ったわけではなくて、アプリ利用の時間が伸びています。このデータを見れば、考えが変わるのではないでしょうか。消費者の注意がアプリに向いているわけですから、マーケティング担当者としてはそれを無視することは許されません。
競争の焦点は今後、『アプリからどれだけユーザーを獲得できるか』に移るはずで、われわれはそこのオペレーションを実現するためのプラットフォームを提供したいのです」