まずはセッションでやりきる
小川:我々もそうなんですけど、やはり「(サイト上の)セッションでまずやりきる」というところが大事なんだろうと思います。セッションという仕組みが良いか悪いかは別としても、その中でできる最適化がある。
そこで限界が見えて、「もうどこを最適化すればいいのかわからない」ということになったとき、あるいは「集客のコストカットをしていきたい」というときに、アトリビューションというような別の仕組みが必要になってくる。そうなってはじめて解析ツールから離れられるステージなのかなと思っているんです。
清水:改善って、最初は何をやっても上がるんですけど、だんだんこうなってくる(絵を描いている)。へたすると下がっちゃう。上がったとしても0.1%とか。

小川:そうなると最大化のところから、最適化に行くんですよね。量を増やすのはいいんですけど、次に効率化というところになってくると、なかなかアクセス解析ツール上の分析の仕組みだけではできることが限られてくる。でも最初から全部やろうとすると、そもそもデータが使えなかったり、データをつなげるところで挫折してしまう。
清水:順番が大事ですよね。最大化から最適化へ。
本当の「サイト最適化」とは?
小川:我々のような広告型ビジネスというのは、最適化にも実は2段階あるんです。ひとつは、コストを減らす、だけどコンバージョンを維持するというパターン。でも、我々の場合はコンバージョン自体を分配しないといけないんですね。商品や情報を掲載していただくことに対して、広告料をいただいています。したがって、その金額に見合った分を返さないといけないわけです。
清水:わかるわかる。
小川:コストの最適化じゃなくて、多少コストをかけてても、サイト内や集客による誘導をかけていく。賛否両論あるとは思いますが。たとえば、商品自身が持つ人気というものがあります。大手企業の求人案件やお得な物件ですね。ほうっておいたらそういうところばかりにコンバージョンが偏ってしまいます。100コンバージョンあったら、1社に100件、99社が0件ではどの会社も次回から広告を掲載していただけません。
クライアントにはいただいた金額に対するリターンを提供し、カスタマーには選択肢を広げていただきたいと考えているので、そのための施策をいろいろ考えています。
清水:あぁ、偏らないように。
小川:はい。そのためにサイト内の導線や集客をどうカスタマイズしていくかを大切にしています。コストの最適化だけではなく、商品単位での最適化が必要になる。ただ、ユーザーを無理やり誘導させては意味がないので、そこは気を付けています。

清水:むかし、引っ越し業者の見積サイトを運営していたときも同じような状況を経験しました。引っ越しって、トラックのキャパがある。こっちの業者が忙しいときには、こっちに振ってというふうに、キャパ、さらには出稿モデル、利益率などを加味して表示する選択肢、つまり資料請求先をうまくコントロールする必要がある。お客さんが見積をとったのに業者側のキャパの都合で断られる、というアンマッチを避けるために、裏のロジックをすごい組み込みました。
小川:本当にそれをやるとなると、クライアントの会社さんがリアルタイムで連携するのが理想ですよね。今「トラック0件です」と表示されれば他に行くわけじゃないですか。
清水:しかもトラックは、東京から大阪に行ったら、大阪から東京に戻るとき空にしたくないわけすよね。うまいこと日程を合わせて、トラックの往きも帰りも稼動できるようにつじつまを合わせるという意味では、ビジネス最適化なんですよね。オンラインうんぬんじゃなくて。
小川:そうですよね。ビジネス最適化を実現することを考えると、まだできることは沢山あるな……と自社を見ても思います。特に「ある目的を達成する」ためにかけている保険としての集客量やコストは見直していければと考えています。