清水 誠さん
1971年東京生まれ。国際基督教大学卒業後、WebコンサルティングやIA・UI設計に従事した後、事業会社側でアジャイル開発やCMS導入を含むプロセス改善ににこだわり18年、UXから開発、マーケまで幅広く経験&開拓。組織の内側からのプロセス改善とソリューション導入を得意とする。2008年に楽天に加わり、アクセス解析の全社展開を行った。2011年にFA宣言し、2011年9月から米国ユタ州の米Adobe Systemsに勤務。日米を行き来しながら研究と実践、執筆と講演を続けている。SiteCatalystユーザー会「eVar7」前代表。サンクトガーレン社外CMO。ブログ「実践CMS*IA」「実践★SiteCatalyst」
勝手にレコメンドされるのがイヤなら、自分でオプトインすればいい
小川:Googleが4月に、「アクティブGRP」や「アクティブビュー」という、新しい指標を広告で採用するという発表をしました。
「アクティブビュー」って何かというと、いわゆる広告のバナーの「インプレッション」なんですけど、これまでは画面をスクロールしてバナーが隠れていてもカウントしていたのを、画像の50%以上が見える状態で、かつ1秒以上表示されたらアクティブビューとして数えるという話なんですね。
先日ニューヨークで、「Digital Media Summit」に参加してきたんですけど、基調講演でGoogleのディスプレイ広告の責任者が話していた内容が非常に印象的で、「3年後にはユーザー自身が、表示される広告に対して自分で何かしらの影響を与えている、あるいは選択をできる状態になる」と言っていたんです。
つまり、ユーザー自身が「この広告がいい」「この広告がイヤだ」というのを選べるようになるという話なんですね。そういった広告系のところからも大きくデータの取り方って変わってくるのかなと思うんです。
清水:Facebookの画面の右側に出る広告も、いる、いらないが選択できますもんね。
小川:そうです。ああいうところでも、ターゲティングってもっとされてくるんだろうなと。
清水:ターゲティングってUSに住んでると結構ありがたいんですよね。広いし、一極集中ではないので。日本はほとんど東京の情報ばっかりじゃないですか。USは全部の州に東京があるようなもので、離れた地域の情報はノイズでしかない。自分の住んでるローカルの情報がほしいって思うようになるんですよ。だから、その機会があれば自分からオプトインするようになりました。
小川:オプトインさせてほしいですよね。ユーザー側のほうで最適化したい。やっぱり計算でできるといっても限界があるから。だったら自分でやればいい。
住宅情報サイトって、アメリカ全土を対象にしたものってほとんどなくて州単位なんです。物件数めちゃくちゃ多いし、本当に出張とか引っ越しで遠くに行く人以外は、結局自分たちの州や都市のところで探す。清水さんがおっしゃってたように、勝手にレコメンドされるというのがイヤだっていうのがあるんだったら、逆に自分で決めちゃえばいいじゃんって思うんですよね。
清水:メリットがあればオプトインしますね。日本の場合は、首都圏の情報ばっかりでそんなにメリットがないですけど。
データだけを販売するデータプロバイダーの存在
小川:分析にはいろんなデータが必要なわけですが、USではデータの売買やデータの入手方法が豊富なイメージがあるんですけど。
清水:データだけ売ってる企業って、実はUSではいっぱいありますよね。
小川:日本てなかなかそういうのがなくて。
押久保:データだけを売ってる企業ですか?
清水:LUMA partnersがつくったアドテク関連のランドスケープでも、「Data Suppliers」としていくつか紹介されています。たとえば顧客が過去にどんなサイトを訪問しているのか。車業界のサイトと提携して訪れた人にCookie食わせて、車好きな人にターゲティングできるようにするとか。そういうデータプロバイダーがいっぱいいるんですよ。お金出してデータ統合すれば、自分のサイトに来たことのない人の行動もわかるし、ターゲティングもできる。
小川:我々も分析して知りたいのは、同業他社や競合の行動、我々のユーザーとのかぶり、どういう順番で訪れているのかってことなんですけど、その場合そういったデータを直接買うなり、自分でつくるなりしないといけない。
結局、自分のサイトだけでは変数って決まらないんですよ。同業他社さんがテレビCMをガツンとやってるとき、うちは厳しくなるとか、逆におこぼれにあずかるっていうパターンもある。企業にとっては、自分たちだけで目標設定するのってなかなか難しいんですよね。