Kickstarterの類似サービスは、今後ますます増えるのか
他分野に目を向けると、クーポン共同購入の分野ではGROUPONに注目が集まり、「このサービスは流行る!」と思われるようになると、雨後の筍のように類似サービスが生まれてきた。ソーシャルファンディングも同様に、Kickstarterが脚光を浴びるようになって以来、類似サービスがいくつも登場してきている。
海外で代表的なところでは、Kickstarterよりも先にスタートした起業家・クリエイター向けの「IndieGoGo」が挙げられる。領域を絞った専門サイトとしては、ジャーナリストの活動を支援する「Spot.us」、科学者が研究資金を集めるための「PETRIDISH」などがある。広義に捉えればiPS細胞の研究で有名な山中伸弥教授が資金集めに利用したNPO向けのファンドレイジングサイト「JustGiving」もここに含まれてくるだろう。
日本国内に目を向けてみても、草分け的な存在の「READY FOR?」、paperboy&co.の創業者・家入一真氏がかかわっている「CAMPFIRE」などが運営中。特定領域に強いタイプのサイトも出てきている。
これまではソーシャルファンディングサービスの代表格であるKickstarterといえども、ビジネス的な旨みが感じられるほどの規模とは言い難い状況だった。それがビジネス的にもある程度の収益が見込める規模にまで成長してきたことが分かり、今後は海外・国内を問わず、新たな後発サービスがさらに登場してくるかもしれない。
KickStarterを悪用した詐欺疑惑が浮上。今後の防止策は?
このように成長を続けるソーシャルファンディングだが、先日Kickstarterで詐欺疑惑のプロジェクトが見つかり、議論を巻き起こしていることにも触れておこう。
「詐欺ではないか」と疑われたのは『Mythic: The Story of Gods and Men』というゲーム制作のプロジェクト。アニメーションはDisney/Pixarが担当するとうたい、大型タイトルであるとアピールしようとしたが、プロジェクト説明で使われているクリエイティブが盗用されたものであることが判明した。
ソーシャルファンディングという新しいコンセプトのサービスが社会に浸透していく上で、こうしたトラブル、サービスの悪用は必然的に起こるものなのかもしれない。「プロジェクトが成立したところで支払いする」仕組みであったことから実質的な被害は未然に防がれたが、今後はどのような対策が採用されていくのか、気になるところだ。
ソーシャルファンディング関連法案「JOBS Act」成立で、何が変わる?
実はアメリカでは、Kickstarterの成長とは別の理由からも、ソーシャルファンディングへの注目度が高まってきている。
それはソーシャルファンディング関連の法案「JOBS Act」(Jumpstart Our Business Startups Act)が4月5日に成立し、起業家や新興企業・中小企業などがWebを使って生活者から直接投資を募ることが2013年以降に認められるようになるからだ。
現在はクリエイターを支援するツールとして見られているソーシャルファンディングだが、企業への直接投資や前述のような研究者支援など、ほかの用途を模索することで、今後新たな可能性を拓くようなサービスが登場してくることに期待したい。