すべてのメディアに一貫したストーリーを持たせることでメディアが紡がれる
「統合ブランドコミュニケーション」と言うと、単純にメディアを網羅的に活用することだと勘違いされることがよくあります。ひと昔前に流行った「メディア連動」と混同されがちなのですが、この2つは大きく異なります。単純に同タイミングですべてのメディアで同じキャンペーンの仕様にすることではなく、いかにすべてのメディアを通じて一貫したストーリーを持たせるかが「統合ブランドコミュニケーション」では重要でした。
ドンスーモキャンペーンのストーリーは「ドンスーモを探す」です。「ドンスーモを探す」ことでSUUMOの新キャラクターの登場を体験してもらう、SUUMOブランドを体験してもらうことを狙いました。
まずはTVCMで、「ドンスーモ一家が突然現れてスーモが新キャラクターのドンスーモを追いかける」という、これまでの「住まい探し」を訴求する検討層向けのCMとは全くことなるメッセージの展開をしました。ドンスーモの登場を広く知らせたのです。このインパクトあるCMにより、ソーシャルメディア上では「ドンスーモって何?」と、ドンスーモ登場についての話題が起こり始めます。
CMの終わりは「『ドンスーモ』で検索」というメッセージで閉め、カスタマーをキャンペーンサイトに誘導します。キャンペーンサイトでは、ドンスーモ一家が隠れている場所をクイズ形式で当てていき、スーモと一緒にドンスーモを探す体験をしてもらいました。
そして、ドンスーモ一家を見つけた人だけに配布するFacebookのウオールピクチャーやTwitterのアイコンバッジといったデジタルコンテンツを用意することで、ソーシャルメディア上でカスタマーのキャンペーンへの参加が拡散・浸透していくことを企図しました。
さらにCM オンエアと同時に、Twitter、FacebookのSUUMOの公式ページをドンスーモが乗っ取るという演出を加えました。「スーモのアカウントは俺様がのっとった!わははは!!」というドンスーモの突然の登場は、ドンスーモのインパクトを高めると同時に、既存ファンを改めて刺激することとなりました。ドンスーモに対して「なんだお前は?!」「スーモを返せ!!」というコメントが出てきて、スーモに対するファンやフォロワーの方々からの愛情を強く感じました。
「ドンスーモを探す」という一貫したストーリーですべてのメディアを紡いだことで、マスメディアの「リーチ力」、Webサイトの「表現力」、ソーシャルメディアの「拡散・浸透力」が有機的に融合しました。カスタマーは自然とすべてのメディアでのブランドコミュニケーションに接触し、SUUMOのブランドを体験してもらうことができたのです。

