スマートフォン×ソーシャルグラフ×エモーション・シェアリング=LINE
舛田氏は、現在のマーケティングトレンドとして、「スマートフォン」「ソーシャルグラフ」「エモーション・シェアリング」の3つを挙げる。そして「スマートフォンは、高性能なマシンが24時間365日ユーザーの手元にあること、そして一般の学生や女性を中心に広がっていることが革命的。今のスマートフォンのマーケットをリードするのは、別にインターネットに詳しい人ではない。もうリーダーは変わった」と語る。
ソーシャルグラフについては、2つのソーシャルグラフの違いに言及。「バーチャルグラフ」は匿名でオンライン上だけの関係。「リアルグラフ」は、LINEの考え方とイコールで、実際の人間関係を日常生活と同様の距離感において表現されるもの。リアルグラフはアクションの度合いが高い一方、バーチャルグラフでは人々の絆は弱く、アクションさせるモチベーションが弱いと舛田氏は指摘する。
「リアルグラフはアクションさせる度合いが高い。身近な知ってる人から推薦されたほうがアクションにつながる。そして、エモーションがアクションをリードする力になる。本来エンゲージメントにはエモーションが重要であり、企業とユーザーの間にエモーションが共有されることが重要になる。」
このエモーションを媒介・増幅するのが、LINEで人気の「スタンプ」だ。舛田氏は、LINEは、スマートフォン、リアルグラフ、エモーション・シェアリングを掛け合わせたものとして成長できる可能性があると考えている。
ローソンのクーポン、「はける力があるから150万人に配信できる」
LINEでは、マーケティングソリューションとして、「オフィシャルアカウント」を提供しており、ユーザーと企業・商品・サービスがコミュニケーションできる場として活用されている。また、LINEのコミュニケーションで重要な「スタンプ」も企業オリジナルスタンプとして商品化された。
その一例である、ローソンのオフィシャルアカウントでは「からあげくん」の割引クーポンを提供したとき、クーポンを受け取った高校生たちが、あるコンビニに100人以上来店して話題となった。ローソンのクーポンの1回の配信数は現在150万人。最初は5万からスタートし、50万に増やし、最終的に150万になった。舛田氏は「はける力があるので増やせる。ローソンからの報告では、通常のメールマーケの3倍の効果があったという」とその効果をアピールした。
プラットフォーム化する「LINE」
LINEは今年、次のステップへ歩みを進める。今まで無料通話&無料メッセージのツールであったLINEをプラットフォーム化する。そのキーワードが「LINE Channel」。このチャネルを通じて、ユーザーのスマートフォンライフの新しいプラットフォームとなることを目指す。

このプラットフォーム上では、パートナー企業とともに、ゲーム、グルメ、スポーツ、書籍、ショッピングなどを展開。さまざまなサービスをつなぎ、ペイメントシステムによってビジネスを可能にする。また、LINEとスマートフォンのネイティブアプリ、ウェブアプリも連携可能となる。LINE側からAPIを提供し、LINEのフレンドリスト、トーク機能、スタンプ機能、ペイメント機能をパートナー企業が利用できるようになるという。
目標はFacebook
現時点でのユーザー数は4500万(本講演が行われた2日後の7月26日、NHN Japanは、「LINE」の登録ユーザー数が世界5000万人を突破したと発表した)。LINEのユーザーは現在アジア圏が中心だが、下半期はアメリカ、中国へも進出。2012年内に1億ユーザーにもっていき、現在の成長スピードをさらにあげてメガサービスの仲間入りを目指す。
「1億ユーザーはあくまでも通過点。Facebookは、そのサービスの規模も私たちの目標だが、世界中の人たちの共通言語、カルチャーになっている。そこを目指していきたい。」