SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第107号(2024年11月号)
特集「進むAI活用、その影響とは?」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

モバイル&ソーシャルWEEK2012

米国のCMOはスーパーマン、日本はチームでそれを担保し、データオリエンテッドな企業文化を構築する必要がある
【モバイル&ソーシャルWEEK2012レポート】


 「日本にはCMOがいない」とよく言われるが、絶大な権限を持つ米国のCMOがはたして日本の組織になじむのか。日本の企業文化の問題について4人の識者が議論を行った「モバイル&ソーシャルWEEK2012」(日経BP社主催)の「アトリビューション」をテーマにしたパネルディスカッションをレポート。

アトリビューションとは

 「研究から実践のフェーズへ『アトリビューション』が生む効果と課題とは」と題したパネルディスカッションに登場したのは、横山隆治氏(デジタルインテリジェンス)、宮腰卓志氏(博報堂)、小川卓氏(リクルート)、有園雄一氏(ATARA)の4名。

ATARA取締役COO 有園雄一氏
ATARA 取締役 COO
有園雄一氏

 モデレータを務めた有園氏は冒頭で、「アトリビューション」について次のように説明した。

「アトリビューションとは“属性、帰属”という意味の言葉で、コントリビューションとベクトルの方向性が違うだけ。コンバージョンはどの媒体のおかげで発生したのか、“コンバージョンへの貢献度”と私は訳している。」

 アトリビューション分析は、複数の広告キャンペーンや流入チャネルを経由してコンバージョンに至った場合に、どの流入元が、どの程度コンバージョンに貢献しているのかを分析し、各流入元の貢献度を導き出すこと。この手法を用いてキャンペーンを運用することをアトリビューション・マネージメントという。

アトリビューション分析における課題

リクルート ウェブアナリスト兼エバンジェリスト 小川卓氏
リクルート 
ウェブアナリスト兼エバンジェリスト 
小川卓氏

 現在、アトリビューション分析に取り組んでいるパネリストの各氏は、自らの取り組みとともに、現在の課題について次のように指摘する。

小川:アトリビューションは魔法。今までできなかったことが、ビッグデータやツールの進化、計算量の増加によって可能になった。でも、魔法を使うには「魔法使い」が必要。その魔法をどうやって使うのかを決める必要がある。データさえ集めればいくらでも分析できるが、何を分析すればいいかを考える人と、どういうふうに分析するのか考える人の両方が不足している。

有園:博報堂の中で、宮腰さんがやっているような構造方程式モデリングやパスファインダーを使いこなしている人はどのくらいいるのか。

宮腰:ツールはあるし、使うこともできるが、問題は解釈がきちんとできるか。それはマーケターのレベルによる。外部でも、分析できる人はいなくはないが少ない。

博報堂 デジタル・ダイレクトビジネス局パフォーマンスマーケティング部 ディレクター 宮腰卓志氏
博報堂 デジタル・ダイレクトビジネス局パフォーマンスマーケティング部 ディレクター 宮腰卓志氏

 “分析”という言葉には2つの側面、課題がある。ひとつは「数字を加工して結果が出ました」で終わってしまう。もうひとつは、きちんとそういった技術をビジネスに活かそうとする事業のかじ取り役や経営層の問題。

有園:分析にまつわる課題でいうと、私自身、分析をアウトソースしているが、いま委託している人は素粒子物理学の博士号を持っている人。理系で非常に頭のいい人だが、マーケティングのことを理解していない。「コンバージョンてなんですか」と聞かれることもある。

 アメリカでも、優秀な分析官が理科系のほうから、マーケティングに流れてきている。マーケティングやる側はそういう人たちと話をして、かみ合うところまで理解しないといけないレベルになってきている。

日本にはCMOがいないと言われるが……

デジタルインテリジェンス代表取締役 横山隆治氏
デジタルインテリジェンス
代表取締役 横山隆治氏

横山:デジタルマーケティングに取り組むには、今の広告主企業のタテ割りの組織を横断的に串刺しにしないといけない。日本にはCMO(Chief Marketing Officer)がいないとよく言われるが、アメリカのCMOのようなスーパーマンが日本にいるはずがない。荷が重すぎて、あまり現実的ではないので、もっと日本の企業に合ったCMOの概念や、横串横断的な組織をつくる必要がある。

 その組織には、情報システムや理科系の人も入って、今までと違う文化の人たちが融合する。情報システムの人たちは、サッカーでいえば守り。マーケターは攻め。日本におけるIT投資はずっと守りに投資してきている。マーケティングのために投資をしていない。

 マーケターはITに疎い。ITに強い人はマーケティングに疎い。それをそのままにしておくとまずいので、攻めから守りまで関係者を一堂に集めて互いに理解し合うことが大切。

小川:役割は1人ではなく、チームで担保すればいいと思う。私はアクセス解析がメインだが、やはり1人ではできない。サッカーでいえば、最後には監督も必要。あとは、どのくらい必死かということ。弊社がアトリビューション分析をやっているのは、セッションでの最適化ができなくなっているから。リスティングもバナーもメルマガも施策をやりつくして、打つ手がないから(アトリビューションを)やる。ある意味そこまで追い込まれるとやらざるを得ない。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
データオリエンテッドな企業文化

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
モバイル&ソーシャルWEEK2012連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2012/10/25 17:46 https://markezine.jp/article/detail/16206

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング