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ビリーズブートキャンプはブログ上でどう語られたのか?ヒット商品から読み解くクチコミデータ超活用術

全体像を把握する

 では、全体像をどのように把握するかの例をきざしカンパニーのブログクチコミサーチを使い、「ビリーズブートキャンプ」を例にとって説明する。大量の言葉データをなるべく時間をかけず全体像を把握するなら、このブログクチコミサーチは強力なツールである。「ビリーズブートキャンプ」を例として用いた理由は、多くの人がある程度知っているので、読者の方々に納得感があると考えたからである。全体像を把握するには2つの視点が有れば良い。

【全体像を把握する方法】

  1. 調査対象に関する話題を時間軸にそって話題量とその内容を大雑把に見ていく事
  2. ある時期の話題をカテゴリー分けして俯瞰する事

 まずブログクチコミサーチに「ビリーズブートキャンプ」または「ブートキャンプ」または「ビリー」と検索語をいれて検索してみる。

1 調査対象に関する話題を時間軸にそって話題量とその内容を大雑把に見ていく事

 キーワードを入れ検索を行うと、下記のようなグラフが結果として出てくる。

エントリー数の推移のグラフ:縦軸がエントリー数。横軸が時間(週)。関連語表は、それぞれの週におけるビリーズブートキャンプに関して書き込まれているブログに出現するキーワードの表。頻度の多い順に並んでいる。※ブログクチコミサーチ(http://biz.kizasi.jp/)を使って調査

 2006年8月27日週の関連語表をみると「マック」や「ウィンドウズXP」というパソコンに関連する言葉と混じって「7日間」「ダイエット」というビリーズブートキャンプに関する言葉が見える。人々が、少しずつビリーズブートキャンプを知り始めた時期だろう。

 2007年1月21日週になると、上位10語までの全ての関連語がビリーズブートキャンプになり、2007年2月18日から話題量が激増しはじめる。物事が流行るポイントをティッピングポイントというが、このころがそのポイントかもしれない。

 2007年6月17日週がこの半年間の話題のピークとなっている。この週、どうやらビリーが来日したようで、来日という関連語が2位に上がっている。6月17日と翌週のピークを過ぎるとぐっと話題が減っている事が分かる。「何か大きな刺激がない限り、このまま徐々に話題量は減っていくだろう」また「通常の刺激ではこの6月17日週の話題量を超える事はない」というのが、色々な話題をリサーチしてきた僕の仮説である。

 この2006年8月27日週より前と2007年1月21日週周辺、2月18日週周辺、6月17日週周辺で生の声や関連語の性質は変わるだろう。ブログにおいて時間軸にそった切り口は「発見」や「仮説」を作るための一つの視点となる。

 考えてみて欲しい。いったい、何がここまでビリーズブートキャンプを流行らせたのだろう。物事の流行は「詳しく知っている人、少し知っている人、知らない人のバランス」が大きなキーとなっていると言われる。

 人の知らない情報を知っているという優越感と、多くの人が知っている事を知らないと恥ずかしいという劣等感が情報の流れを作り出し、それが流行をつくる。ビリーズブートキャンプの全体像を見ていくと、その中に実際にやっている人の話題、やったことはないけど知っている人の話題があり、それが時間軸で変ってくると考えられる。

 また話題量そのものが増えるという事は、それを知らない人が減っていくという事で、「ビリーズブートキャンプが流行ったのは詳しく知っている人、少し知っている人、知らない人の人口に絶妙なバランスの結果起こった」と仮説を立てられるだろう。これはブログクチコミサーチで検証可能だ。言葉のバランスを、関連語の変化とともに時間軸で調べていけば良い。使うべき関連語に関しては以下2で行う全体像の把握からヒントを得られるだろう。最近ではビリーズブートキャンプを知らない人はいない。そうなれば、流行は徐々に下火となっていく。

2 ある時期の話題をカテゴリー分けして俯瞰する事

次に、2007年2月~2007年7月までの半年間の名詞ランキングを見てみる。ブログクチコミサーチでは、検索結果をCSV形式でダウンロードが出来る。下記が検索結果として出てくる上位30語の名詞のうちアフィリエイトおよび絵文字を除いた28語のランキング表である。この表を見ると半年間でどのような言葉がどれくらい語られていたかが分かる。

ビリーズブートキャンプに関して2007年2月?7月まで半年間で語られた言葉、上位28語とその出現頻度。
※ブログクチコミサーチ(http://biz.kizasi.jp/)を使って調査

 ぱっと見て目につくのは「ビリー・ブランクス」「ビリー隊長」「ビリーさん」というビリーという名前に関連する言葉。その言葉をクリックしそれぞれブログの中身を読んでみると、フルネーム「ビリー・ブランクス」に関しては、来日話題、テレビ番組に多数出演した話題。子供時代原因不明の失読症にかかったという逸話。ブートキャンプDVDの曲はビリー・ブランクス本人が作曲していたというトリビアなど、人柄に関する話題が多い。

 「ビリー隊長」という言葉の周りには実際にエクセサイズをしている人々の声が多い。ビリー隊長のブートキャンプに入隊しましたとか、私は3日で除隊しましたとか、ビリー隊長のあまりの厳しさに、あいつはSだ!と言っている人もいる。

 「ビリーさん」と書いている人の書込みは、親しみのあるおじさんとして扱っている話題、例えばビリーさんは乗せ上手で、いつのまにかブートキャンプをしてしまっているという書込みなどが見られる。また、あまりにビリーズブートキャンプが有名になったためか、そのままで呼ばず間接的にビリーさんと呼ぶ発言が見られた。例えば最近ビリーさんをはじめたとか、ビリーさんのブートキャンプしていますなどだ。

 そしてここで同じ「ビリー」という名前でも呼び方により書込みの内容が変わるという発見が一つ。そして、ビリーズブートキャンプの話題ではビリー・ブランクスという人物が、重要な位置を占めているという事が見て取れる。

 例えばここで、「『ビリー・ブランクス』『ビリー隊長』『ビリーさん』という言葉に代表されるように、エクササイズDVDの主人公のキャラクターが世に広まる事が、ビリーズブートキャンプ流行の一つの重要なキーとなっている」という仮説を立て、それらのキーワードの話題量を時間軸に沿って検証していくというやり方はどうだろう。

 このキーワードの検証は、先ほど立てた「ビリーズブートキャンプが流行ったのは詳しく知っている人、少し知っている人、知らない人の人口に絶妙なバランスが出来た結果である」という仮説にも何か示唆を与えるかもしれない。その間に、ビリーズブートキャンプを販売プロモートしている会社の施策、関わったメディアの時期や内容を調べれば、どのようなプロモーションをするべきかのヒントも得られるだろう。

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ビリーズブートキャンプはどう語られたのか

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この記事の著者

磯部 拓(イソベタク)

1971年生まれ、博士号を取得後アテンション入社。現在は株式会社アテンション戦略企画部に所属し、マーケティングリサーチ、分析、レポーティングサービスを行う。また「恋愛専門ドットコムα版」の作家兼ディレクションを行い「...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2007/09/05 11:00 https://markezine.jp/article/detail/1624

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