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業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究

次の10年はデータに裏打ちされた「統合CRM」の時代
新会社トランスコスモス・アナリティクスのトップ2人が語る

データサイエンティストの育成

MZ:この業界では、データサイエンティストが足りないという話がよく出てきますが、新会社ではそうした人材育成もミッションに掲げていますね。

河野:弊社では大体3年かけて一人前にしています。最初にロジカルシンキングを教えたあと、統計の基礎を教え、ツールの使い方を学んだら配属された部署でOJT。いろんなプロジェクトで場数を踏んでいく。そして、3年くらいたった段階で、リサーチャー志望なのか、データサイエンティスト志望なのか、ITのインフラ系志望なのかを聞いてコース分けしていきます。

萩原:マーケティング業界でデータを扱うのは、10年ぐらい前までは調査会社の仕事でした。調査会社のカリキュラムは、基本的には調査票やクロス集計表のつくりかた、グループインタビューのモデレーションなどですが、弊社では、SQLなどのデータベース、テキストマイニングの知識も求められます。マーケティングのためのデータハンドリングという意味では、クロス集計表ではなくてデータベースをちゃんと扱えないといけない。

 余談ですが、昔は多変量解析は机の上ではできなかったんですよね。大型コンピュータを一晩まわして因子分析をしていました。

河野:それが今はエクセルのマクロでできてしまう。

萩原:そう考えると、今バリバリのデータサイエンティストでないとできないようなビッグデータ分析も、5年後10年後には机の上ですぐにできてしまうかもしれないですね。

デジタルマーケティングで重要になる、「フォーサイト」と「インサイト」の力

萩原:我々の顧客が求めているのは、昨日や今日のことではなく「明日どうなるか」ということ。そこで重要な考え方がフォーサイト(foresight)インサイト(insight)です。フォーサイトは未来を予見する「forecast」、予測です。インサイトはその逆で人の心を理解すること。

 アップルのように、消費者が「あ、私はこれがほしかったんだ」と思えるような商品をつくっている会社は、顧客の心を読み取る「インサイトの力」を持っている。クロス集計で考えていた時代から、商品開発力を生み出せるようなインサイトの力、さらに予測の力がこれから重要になってきます。

 今なぜソーシャルメディアのデータがもてはやされるのかというと、ソーシャルから得られる声は、一問一答式のアンケートとは異なり、自然に話された言葉だからです。したがってそこから相手の考えを読み取りやすくなる。現在は、ツイートで気分や支持を定量化して予測することも可能になっています。データドリブンマーケティングではフォーサイトとインサイトの両方が重要になりますが、それを持つことが難しい顧客企業に対して、我々は専門職としてそうしたサービスを提供していきたいと思っています。

MZ:今日お話をうかがって、アウトソースのイメージが変わりました。

萩原:企業にとって「アウトソースは、コスト削減、固定費を変動費にするためのもの」という従来のイメージが強いと思います。しかし、そこを変えていきたいと思っています。また、アウトソースにも、弁護士、会計士、経営コンサルなどいろいろな専門職があります。その中で、「ナレッジプロセスをアウトソースする」というのは新しい試み。日本企業では、「そこはわが社の大切なコア部分だ、アウトソースなんてとんでもない」という人も多そうですが。

河野:でも、そのコア部分を担える人が社内にいない場合もありますからね。

萩原:KPO(Knowledge Process Outsource)という考え方は、最初は金融の分野で出てきたんですよね。金融商品、たとえば生命保険の掛け金を決めるロジックを社内でつくることができないとき、外部に委託してつくったモデルを使う。業者ではなくパートナーというかたちで協力していくKPOがこれから広まっていくのではないでしょうか。

河野:最後にもうひとつ、グローバルITパートナーとしての展開も考えています。トランスコスモスグループは中国や韓国に日本のアウトソースモデルを移植、現地化し成功を収めています。今後はより高い成長が期待される中国、韓国以外の東アジアマーケットへの進出に注力していきたいと考えています。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2012/09/14 11:00 https://markezine.jp/article/detail/16263

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