一粒で二度おいしい、ネガティブ/ポジティブ発想法
広告コピーも含めて世の中の実用文を見てみると、同じような書き出しが少なくない。その中から使いやすいものを紹介する。
<事実や真理を示す>パターン
ひと口に事実といっても、客観的事実、データ、ものごとの真理など様々だ。それらを示すことで読み手を不安にしたり、自分に関係する情報だと気づかせて話に引きこむ。
- 5月は1年のうちで最も紫外線が強いのです。UV対策は夏でなく春から始めるのが基本。
- 気になるデータがあります。住宅の平気寿命はアメリカで約55年、日本はわずか30年~
- よくオシャレは足元からと言います。まずは靴選びが重要です。
もし事実が不安にさせるような内容ならば、その先に待ち受けているであろうイヤな状況を示し、さらにその解決策を提案して商品の機能や価値に結びつけていく。最初に真理や原理原則を示すのであれば、それに沿って商品の機能や価値を紹介していく。
はじめは一般的なことからはじめて、読み手の関心を引きながら徐々に商品に焦点を合わせていくイメージだ。
<不安・不便を並べる>パターン
簡単に言えば、こんなことで困っていますよねというメッセージではじめる方法。通販広告、通販CMでおなじみのアプローチだ。不安や不便は顕在化しているものだけでなく、潜在化しているものにも訴求する場合がある。
- 休んでも疲れが抜けない、だるい。こんな悩みで困っていませんか。
- 英会話スクールに通いたいがコストが気になる。そんな方におススメです。
- カーペットの食べこぼしや飲みこぼし、すぐに拭いてもシミになってしまう。
不安、不便を示して「困っていませんか」、そして「そんな方におススメです」「そんな悩みを解決します」などのセンテンスで受けて解決へと導くシナリオだ。
使い尽くされてきた表現だが、示された不安や不便に思い当たることがあれば効果的なアプローチだ。だから今でも使われている。問題を浮き彫りにしたら、次は解決策を示す。解決策を商品の機能と結びつけながら商品を紹介していくというのが基本的な話の運び方だ。
言ってみればネガティブな視点からのアプローチだが、これをポジティブな視点に反転するとまた別の書き出しが生まれる。上のネガティブな例文をポジティブに変えてみると次のようになる。
- 休めば疲れもだるさもスッキリ解消。そんなカラダになれば毎日が充実しそう。
- 安いコストで学べる英会話スクールがあるとうれしい。そこで実現したのが~
- 飲みこぼしもサッと拭きとれると、カーペットのおそうじもラクなのに。そんな声に~
不安や不便は希望や願望と表裏一体、ネガティブから語るか、ポジティブから語るかで表現は異なるが、訴求のゴールは同じである。どちらか一方ではなく、ネガ/ポジ反転して考えると表現のバリエーションも生まれるのでぜひお試しを。表現の引き出しが増えますよ。
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