SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

ビッグデータ活用の現場から

Facebookソーシャルグラフ・レコメンデーション実装事例の舞台裏 ─ リクルート式ビッグデータのビジネス活用最前線


従来の仕組みの組み合わせでできる使いやすいアルゴリズム

 今回のアルゴリズムは他のサービスへの展開が容易となっています。1に関しては、従来のItem to Itemのレコメンドのため、外部APIを活用しています。2に関しては新たに実装しましたが単純なソーシャルグラフ・ランキングのためFacebookのソーシャルグラフ用API(以下、Graph API)からデータを取得すれば誰にでも作れるものです。

 また、クリック結果をウェイトに反映させる方式も外部APIの従来の機能の組み合わせです。よって、ほとんどが従来の仕組みの組み合わせからできているため、実装が容易であり、今回のホットペッパーフレンズ以外のサービスにも展開しやすいのです。

 しかし、このレコメンド機能をリリースまでの道のりは、決して容易なものではありませんでした。

ソーシャルグラフ・レコメンド実現における3つの課題~Graph API関連

 ホットペッパーフレンズのソーシャルグラフ・レコメンドをリリースするまでには多くの課題がありました。

 2012年2月にホットペッパーフレンズに今回のレコメンドを実装することが決まり、アルゴリズムの検討、システム実装がはじまりました。レコメンドのシステム実装自体は3~4か月程度で完了しましたが、ホットペッパーフレンズアプリが2012年4月にリリースされてから約5か月間ソーシャルグラフ・レコメンド機能はリリースできませんでした。それはなぜか? 原因は様々ありましたが主な要因は次の3点となります。

  1. Graph APIの経験値・仕様変更
  2. ソーシャルグラフデータのセキュリティレベル
  3. コールドスタート問題

1:Graph APIの仕様経験・仕様変更

 今回のソーシャルグラフデータ取得には、FacebookのGraph APIを活用しました。Graph APIとは、"https://graph.facebook.com/ID" のようなフォーマットでFacebookにリクエストを投げることで、ユーザーが許諾した範囲でユーザー名や友人名、チェックイン履歴などのソーシャルグラフの情報を取得できる仕組みです。

 非常に便利な機能ですが、社内でもまだまだ経験者が少なく、英語のドキュメントから仕様を手探りで確認する状態からはじまりました。まずは何が取得できて、何が取得できないかを整理するところから始める必要があったのです。Graph API取得項目リストなども作成、社内で共有し、要件定義や開発を行っていきました。

 ここまでも比較的苦労しましたが、開発中はFacebook側の仕様変更に何度も悩まされました。例えば、特定情報の取得期間が変更になったときは、これまで一度の問い合わせで取得していたものが複数の問い合わせでしか情報を取得できなくなり、プログラムの改修が必要になったこともありました。

 また、特にプロジェクト内で騒ぎになったのがOffline_accessの廃止です(※)。レコメンデーションの計算はバッチ処理で行うため、ソーシャルグラフデータもバッチ処理で取得する必要がありました。

 しかし、Offline_accessが廃止されるとバッチでソーシャルグラフデータを取得できないため、設計そのものを見直す必要が生じます。当時はFacebookからの公式情報も少なく、その中での検討は試行錯誤でした。今でこそ、アクセストークン(Facebookのソーシャルグラフ情報を取得するためのキー)の有効期間を延長することで、回避できることが一般になっていますが、当時は仕様変更に苦労しました。

次のページ
ソーシャルグラフ・レコメンド実現における3つの課題~セキュリティ/コールドスタート

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
ビッグデータ活用の現場から連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

株式会社リクルートテクノロジーズ ビッグデータグループ データサイエンスチーム(カブシキカイシャリクルートテクノロジーズ ビッグデータグループ データサイエンスチーム)

ビッグデータグループ
リクルートグループの情報活用を全社的に担っている機能組織。分析者、技術者、ハイブリッド人材がなどの様々な人材が数十人規模で所属。リクルートにあるWeb、クライアント、カスタマー等の様々な情報を使ったイノベーションに日々取り組んでいる。

データサイエンスチーム...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 悦明(ヤマダエツアキ)

株式会社リクルートテクノロジーズ
ITソリューション部ビッグデータグループ データサイエンスチーム

和歌山大学大学院システム工学研究科(修士課程)にて感性工学分野でレコメンドロジック開発を研究テーマとする。

卒業後、2008年に株式会社リクルートに就職。広告配信サーバの導入やクライアントの集客...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2013/01/31 09:44 https://markezine.jp/article/detail/17056

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング