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ビッグデータ活用の現場から

「ビジネスゴールの達成が全て。ビッグデータは必ずしも“ビッグ”である必要ない」 席移動からはじまったITとマーケティングの融合

組織を細分化するべからず!85名の大所帯が新たなプロジェクトを生んだ

 編集部:分析技術や分析スキルを持ちつつも、それに甘んじることなく事業の目的達成にこだわる。それが「攻めのIT」なのだと思いますが、組織体制で気をつけていることはありますか。

 菊地原:実は私がマネージャーを務めるビッグデータグループは、メンバーが85名もいます。「部」の下に組織される「課」のレベルを超えているんです。

 編集部:85名!

 西郷:なぜこんな大所帯になったかというと、2つのチームが統合されたからです。分析技術を操る技術チームと、アナリストチームです。先ほど申し上げた通り、私たちにとって大切なのは事業の目的を達成することです。技術も分析も「手段」に過ぎませんが、その2つがさらに別のチームに分かれていたため、目的が共有しづらい側面もありました。フロアも別々でしたし…。

 菊地原:私は技術チーム、西郷はアナリストチームにいました。私たち2人は飲み仲間で会話量も豊富でしたが、他の社員は必要なときに会話をする程度で、コミュニケーションは少なかったように思います。

 案件共有会などを通じてコミュニケーションを図る努力はしていましたが、徐々に「近くで働いた方がよいのでは」と感じるようになりました。別のフロアだと聞こえない話も、隣にいると聞こえますよね。物理的な距離を近づけることで、解決できることがあると思ったんです。

 西郷:なので、まず席を移動してみました(笑)。同じフロアになると、やっぱり仕事がはかどるんですね。結果として、組織を融合しようという話になりました。一人ひとりの仕事内容は変わりませんが、目的は共有しやすくなったように思います。

 編集部:コミュニケーションが増えると、プロジェクトも自然発生的に生まれそうですね。

 菊地原:おっしゃる通りです。実はいま、ある転職サイトで面白い試みをしているんですよ。

 転職サイトの最大の課題は、募集企業と応募者のマッチングです。「事業企画ができる」というAさんが、ITの素養があるため、B社の「Webプランナー」という職種にピッタリかもしれない。でも言葉の使い方は人や会社によって違いますから、最終的には人力でマッチングする必要がありました。

 でもある技術者が、自然言語処理の技術を応用して「自動マッチング」を試していました。転職希望者の応募書類と、企業側の募集要項を読み取り、親和性の高いもの同士をマッチングさせるのだそうです。「こんなことできたらいいな」と思いながらも諦めていたことでしたが、ある場でエンジニアが「できるかも」と言い出したのです。組織が融合されたことで生まれたプロジェクトといえます。

 西郷:まさに「1+1=3」になった事例ですね。このような融合効果を、今後はさらに発揮していきたいですね。「無理だろうなあ」と思っていても、口に出すと「この技術が使えるのでは」と突破口が見えることもある。スペシャリスト同士が恊働すれば、未開拓の分野でも「あたりが見える」ことがあると思うんです。

 編集部:ビジネスの原点に立ち返るようで、有難いお話です。最後に「IT」「マーケ」などの部門間連携をすすめる読者へ、アドバイスをお願いします。

 菊地原:何度も申し上げますが、必要なのは事業の目的を達成すること。そのためには、事業側とIT側が、一緒になって考えないといけません。

 事業担当の方は「最新技術やテーマに取り組みたいけど、具体的に何が実現できるかわからない」とおっしゃいます。まずは一度議論をすることから始めること、「目的を一緒に決めたい」のレベルであっても、まずは歩み寄ることが大切だと思います。

 西郷:リクルートも、トライアンドエラーを繰り返してここまできました。失敗を恐れずに、まずは一緒にスタートすることが大切だと思います!

 編集部:ありがとうございました。

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この記事の著者

齋藤 麻紀子(サイトウ マキコ)

フリーランスライター・エディター

74年生まれ、福岡県出身、早稲田大学第二文学部演劇専修卒業。 コンサルティング会社にて企業再建に従事したのち、独立。ビジネス誌や週刊誌等を通じて、新たなビジネストレンドや働き方を発信すると同時に、企業の情報発信支援等も行う。震災後は東北で起こるイノベーションにも注目、取...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/03/19 08:00 https://markezine.jp/article/detail/17058

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