ポイント2:課金形態の差異によるアプローチの違い
2つ目のポイントは、課金形態の差異によるアプローチの違いです。
日本ではクリック課金(CPC)のサービスがほとんどで検索ワードであればキーワードごとに、ディスプレイであれば配信面毎に入札単価を変え、クリエイティブを細かく変動させ効率的な改善に取り組んでいます。検索ワード、アドネットワークごとにクリエイティブや配信面を細かく調整し、それぞれの投資対効果を把握し、入札方法を変え、露出のボリュームをコントロールしています。
仕組み上、単純に入札単価を上げれば露出は増加しますが、効率は悪くなります。この為、CTRを高め媒体が定義するスコアやeCPM(広告1000回表示あたりの収益額)を高めるよう運用を行いますが、細かい入札対応が効率改善への勘所となります。

一方、アメリカではCPI(インストール課金/Cost Per Install)のサービス利用がトレンドです。インセンティブは付与せず1インストール当たりの単価が決まっていて、アプローチする在庫や配信面は、CPCメニューと変わりません。現在アドネットワークは、CPI課金が主流になってきています。CPIメニューなのでインストール単価が単一とあんるので、CPCとは違い、細かく入札を変えないメニューのため、eCPMのコントロールはCTRとCVRになります。

CTRの高いクリエイティブはCVRが低くその逆も然りという相関が定説ですので、神バナー(CTRもCVRも高い)と呼ばれるクリエイティブを探す作業が一番の勘所となります。
ただ、簡単ではありませんので、一定のeCPMを獲得し露出をはかるにはどの程度のCTRでどの程度のCVRが必要なのかを算出し、それぞれの目標値を定めクリエイティブ検証を続けることが重要です。CTRに効く要素抽出CVRに効く要素抽出をマッピングすると、わかりやすいでしょう。
ポイント3:KPIの設定
最後は、日米問わず重要なポイントであるKPI設定です。
多くの企業では、リテンションレート(Retention Rate/継続率)とARPU(Average Revenue Per User/1ユーザー当たりの売上単価)をKPIと設定していると思います。リピーターを増やし、顧客単価を上げることに成功できれば、集中して予算投下し集客に注力していくのが定石です。
集客では、インストール単価(CPI)をKPIと設定し、より安く質の高いユーザーを多く連れてくることが最大の目的となります。また、メディアごとのROAS(Return on Advertising Spend/広告の費用対効果)を比較し、同じインストール単価でどれだけ売上につながっているかをKPIとするケースもあります。
判断のタイミングとしては、およそ3日~14日のROASで判断することが多く、最速でPDSを回すことが求められます。しかし、ROASを指標とする場合、短期での運用はイベントや一人あたりの売上に左右されることが多く、いわゆる「ノイズ」が入りやすい点は注意しなければなりません。また、施策に落としにくく各メディアへの配信予算のコントロール程度しか現実的にはできません。
そこで、私たちが推奨しているKPIは「 CPR(Cost Per Retension/一人当たりの継続率)」です。CPIはインストール当たりの獲得単価ですが、CPRはリテンション、つまり継続ユーザー当たりの獲得単価をKPIとしています。いくら使って、何人のDAU(Daily Active User/一日あたりのアクティブユーザー数)を獲得できたのかを経営判断として用いる事によって、広告集客における最適化を行っています。

特に、7日目のリテンション数を集客コストで割り戻した指標を「CPR7」と呼んでおり、ある日インストールしたユーザーが、7日目も同様に起動(遊んだ)した際に、DAUに転化したと判断すると定義しています。それを元に、アメリカでは主流であるCPI課金の入札単価をコントロールし、より質の高いユーザーを多く獲得できる運用を行っています。
以上3つのポイントを紹介いたしました。読者の皆さまの参考になれば幸いです。