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EC・通販最前線

「メディアミックス」武器に、町のカメラ屋から通販業界大手に成長 ジャパネットたかた成長の軌跡と今後の戦略

都内にネット専用オフィス新設、ネット強化へ

 ネット時代が進む昨今。ジャパネットたかたもネット強化の対策を進めている。ネット専門スタッフのほか、バイヤーを集めた「東京オフィス」を昨年8月、東京都港区六本木に開設した。

 通販サイトなどネットへの取り組みを行う部署、バイヤーの部署、自社チャンネルの番組制作を行う部署、総務などで100人超のスタッフが勤務。CS放送の撮影・放映、ネットを通じたショッピングのコンテンツの制作・配信などを行う設備も整えている。高田副社長はこれら東京オフィスに在籍する部署の責任者である。

 「ジャパネットのネットに求められているのは、独自性をどう出すか」。高田副社長はネットへの取り組みに関する課題をこう指摘する。通販サイトではこれまで、テレビや紙媒体でヒットした商品を販売することで、「通販サイトの土台を固めてきた」(同)。第2ステップとして、ネット独自のイベント企画なども催し、「買いたいもの(欲しいもの)があるから、ジャパネットのサイトを見てみよう」(同)と消費者が思うような導線作りも進めた。

 第2ステップを通過した今、第3ステップに位置付けるのが「面白いもの、新しいものがあるからジャパネットたかたのサイトへ行こう」(同)と消費者が思うサイトになることだ。バイヤーを増やし、家電以外の商品ジャンルを積極的に開拓しているのもその一環で。「家電以外のさまざまな商品が売っていて、なんかアクセスしたくなる」(同)。こんなサイト作りが目標だ。

 ネット通販を巡っては、さまざまなジャンルの商材を取り扱うアマゾンや楽天市場など競争相手が多い。だが、そんなECプラットフォームやEC事業者に対しては、「競合とは思わないようにしている」(同)。

 ジャパネットたかたの商材は、自社のバイヤーが商談をし、商材に自信を持ってメディアで販売する。「ジャパネットたかたが目利きした商品なら品質はいいのだろう」。こんな気持ちで購入する消費者は少なくない。だからこそ、ネットに対しても同様の方針は変わらない。

 「ジャパネットたかたが提案する商品なら購入したい」。こんな消費者を開拓していきたいという。

 テレビショッピングやラジオショッピング、紙媒体の通販も「提案型」。どんなにいい商品なのか、それを提案する理由などをメディア経由で発信し、視聴者は納得した上で購入するといったビジネスモデルだ。

 ジャパネットで販売している商品はメーカー品で、ネット検索すれば他のサイトでも販売している。それでもジャパネットで購入する理由は、「ジャパネットたかたが提案する商品なのだから間違いない」と感じるのではないだろうか。それを示すのが、ジャパネットたかたが長年積み重ねてきた消費者との信頼関係。こんな事例がある。

 ジャパネットたかたはエアコンを販売する際、販売と並行し、不要になるエアコンの下取りサービスを全国規模で展開した。全国のリサイクル業者と提携することで実現したものだが、商材提案とともに発生する顧客の悩みを解消することに着目。販売とリサイクルなどを同時並行で進めた。こうした取り組みは、パソコン販売でも展開。商品とともにレッスンサービスを付けるなど、「価格」以外の購入促進要素も付け加える。

 メディアミックスに加え、他のEC事業者にはできない付加価値を提供する。こんな強みを発揮することで、第3ステップと位置付けるサイト作りを進めていくという。

過去最高益達成が今年の目標

 エコポイントの反動などで2期連続の減収決算となったが、高田副社長に悲観はない。高田社長は13年12月期(今期)、過去最高となった10年12月期の経常利益(136億円)を超える実績を残せなければ、社長を退任する決意を表している。今期は過去最高の経常利益の達成が必達目標だが、収益力が急回復している現状を「社内体制が整い、良い動きが見えてきた」と高田副社長は話す。

 商材の多角化を進めるにあたり、ネットでは機能性を訴求する商材は「世の中に出回っていない商材を揃えるようにしている」(同)。一方、嗜好性の高い商材は制作力を生かし、動画をネットに載せて訴求していく仕掛けを検討している。

 ネット時代が進み、企業のネットシフトは止まらないだろう。競合企業も増え、消費者との接点作り、顧客獲得といった企業間の競争はさらに厳しくなる。20年以上もの通販ビジネスを通じて蓄積したアドバンテージ、多様なメディアを持つジャパネットたかたの優位性は高まっていくだろう。

 今後はネットへの取り組みを強化するジャパネットたかたの「メディアミックス」が、今期末どのような形で帰結するのか。注目が集まるところだ。

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この記事の著者

TAMA(タマ)

 流通系専門紙の編集に携わる。現在、サラリーマンをしながら、フリーライターとして執筆活動中。活動ジャンルはITと流通周り。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/03/28 08:00 https://markezine.jp/article/detail/17334

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