1割のヘビーユーザーが6割の売上を支える実態
ローソンでは、来店頻度などから、顧客を3つに分類しました。すると、1割のヘビーユーザーが6割の売上を、ミドルユーザーを含めると25%の顧客が8割の売上を支えていることが分かりました。

ヘビーユーザーの満足度向上のため、様々な施策を講じています。例えば、最近は生鮮品を積極的に取扱っていますが、これは生鮮品を購入する顧客はヘビーユーザー化するからです。また約3分の1の店舗では珈琲を提供していますが、これもリピートを増やすための策です。珈琲は豆にもこだわり、ブラジルのローソン専属農園でつくっています。
また大切なのは町に根ざすことです。ローソンには、「私たちは"みんなと暮らすマチ"を幸せにします」というミッションがありますが、やはり強い店は、「354m」「徒歩5分圏内」の足元商圏のシェアがとても高いです。ヘビーユーザーがどこに住み、何をリピートしているのか。これを各店が把握し、アクションにつなげることが大事です。

ソーシャルメディアアカウント「あきこちゃん」が効果を発揮
マーケティングの話題にうつりましょう。ローソンでは、ソーシャルメディア上に「あきこちゃん」というアカウントがあります。ローソンクルーのひとりという設定で、ローソンを代表して情報発信します。あきこちゃんには2つの役割がありまして、1つは販促、もう1つは広報的な役割です。プロモーションも複数のチャネルやメディアを活用します。例えばあきこちゃんは、ツイッターやモバゲー、Facebookなど、26の媒体で約760万人とのつながりをもっています。
またプロモーションツールとしては動画を大切にしています。20代の方々の9割がニコニコ動画の会員であり、特に若い方々へアプローチする際には有効な手段だと捉えています。さらに、スマホで動画を見るようになって以降、その影響力は格段に上がりました。先日、動画上で人気のある素人のダンサーさんに「おでん」をモチーフにしたダンスを踊っていただき動画で配信したところ、話題になってセールスにつながりました。
お客さまに参加頂くことも大事です。例えば、からあげクンのはてな味を販売するという企画をしています。投票し、参加することが、結果としてからあげクンの認知につながり、セールスを生むと考えています。
“みんなと暮らすマチを幸せに”を実現
30年前、小売店は170万店でしたが、いまは100万店に減っています。ですからコンビニは、「もう飽和状態ではないか」と言われます。でも実は、小さな店が減って大型スーパーが増えているため、売場面積は増えているのです。
小売店の大型化が進んでいるなか、近所型の店舗が発揮できる価値もあると思います。少子高齢化など、町の風景は以前と変わっています。地域の方々を幸せにするという経営理念を軸に、これからも前進したいと思います。
