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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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マーケティング・プロフェッショナルズ

「テレビCM好感度ナンバー1。でも実際はネットを活用した戦略が6割を占める」 ─ エステー 鹿毛康司氏

もっともっと現場でもがけ。会社を作るのはあなた自身

 青葉―― これまで様々な困難に立ち向かわれ、それを乗り越えてきた鹿毛さんですが、若かりし頃の失敗談などありますでしょうか。

 MBAから帰ってきて、直面した雪印食中毒事件では、自分の無力さを実感しました。お客様の自宅へお詫びに上がるにあたって、私は何を言えばいいのか分かりませんでした。

 本社は「心からお詫びを」と当たり前のことしか言わない、でもここで必要なのは企業としてどうお詫びするのか、この先に何を約束できるのかということです。私はそこで初めて、これこそがコーポレートブランドだ、企業人格なのだと知りました。MBAを取得したのに現実には何の役にも立ちませんでした。天狗の鼻が折れた瞬間でしたね。

 青葉―― MBAを修めても、現場でしか知りえないことがたくさんあったということですね。

 そうです。そんなことの連続です。勉強するのはもちろん大事なことですし、ロジカルな思考や緻密な分析も重要です。でも、マーケティングとは、経営とは机上のものではありません。最終的なアウトプットまで理詰めでやるならば、それははっきり言って仕事をしていないのと同じです。もっともっと現場で「もがいて」ほしい。

 エステーでは2010年5月に、月9(フジテレビのドラマ)枠で「新CMが間に合いませんでした」というCMを流しました。実質的には何の迷惑もかけていないのに、Webサイトでお詫びまで出して、大きな話題になりました。お詫びを出すにあたって、私はこの企画を役員会にかけています。そこまでする気概もなくて、隣の芝生を羨んでも仕方ない。「お宅の会社はいいよね」とよく言われますが、そういう会社をつくるのはあなたなのです。

 特に今、一体何がマスメディア展開で何がネット展開なのか、その垣根もなくなってきています。ネットマーケティングに携わっている人こそ、自由にいろいろなことができるのではないでしょうか。

 青葉―― 最後に、鹿毛さんが考える「マーケティング・プロフェッショナル」とは?

 「自分で考え自分で実践し、自分でその成果を整理し、マーケティングを生みだせる人。つまり、マーケティングを構築できる人」だと思います。マーケティングに関わる人を極端に大別すると、本を読んで勉強もして理論は理解しているが実践で使いこなせない人か、自ら行動・経験し、ノウハウを溜め、実践できる人の2種類に分かれると思います。

 どうせやるなら、マーケティングを作る人になって、自分のセオリーがやがて本に載ることを目指してほしい。50代のオジサンがしゃにむに頑張っているのです、若手の人にはなおのこと自分の頭で考え、自分の足で稼いでほしいと思います。私自身もまだまだ満足とは思ってないですし、これからも全力で走っていきたいと思っていますので、一緒に頑張っていきましょう!(文・高島知子)

青葉取材後記「Marketer Eye」

 エステーは、国内では防虫剤や消臭芳香剤市場の拡大を図るとともに、グローバルではアジア地域を中心に積極的に展開しています。防虫剤の「ムシューダ」や消臭剤の「消臭力」ブランドはその商品力もさることながら、広告宣伝も毎回話題になっています。自らを「特命宣伝部長」と名乗り、鳥の被り物でCMにまで登場する鹿毛さんの創造力や考え続ける姿勢に取材陣一同、驚き、感服いたしました。消費者の右脳に訴え続ける鹿毛さんの次なる仕掛けがますます楽しみです。

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この記事の著者

青葉 哲郎(アオバ テツオ)

サイコス株式会社 代表取締役
東京都出身。明治大学政治経済学部卒業。1994年4月 ジャスコ (現イオン)入社。1995年マイクロソフト入社。トップセールスを経て、最年少ブランドマネージャに就任。MSN事業開発など担当。2001年インテリジェンス入社。マーケティング部を設立し『はたらくを楽しもう。』で同社を転職ブランド1位に。2008年リクルートエージェント入社。『転職に人間力を。』で新ブランドを立ち上げ、コスト減と広告効果の最適化...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/05/20 08:00 https://markezine.jp/article/detail/17607

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