デザインで「人」は動かせるのか
今回の最初のページで、Webサイトも「ストーリーがあるはず」と書きました。Webサイトに限らず、雑誌だってそうです。表紙→目次→特集記事→情報系記事…というように、情報発信者側は「こう読んでほしい」というストーリーをおぼろげながらでも持っているものです。想定読者というペルソナがあるのも当然のこと。
ところが、筆者の見たところでは、意外とこういう「当たり前」のことが考慮されていないWebサイトが多いような気がします。「使いにくい」「やりたいことができない」「機能が見つからない」というようなユーザビリティが低いWebサイトは、ほとんどの場合こういったストーリーが無いか設定が間違っているか、です。
その理由は誤解を恐れずに言うと…デザイナーに「デザイン」を任せっ放しにしているからです。デザイナーではダメだということではありません。デザイナー「だけ」ではダメなのです。私たちの言う「デザイン」とは、前ページでも述べた戦略デザインに他なりません。そこには、グラフィカルなデザインだけではなく、ユーザーのインサイトを分析する機能、マーケティング戦略を加味する機能が含まれているのです。
デザイナーはよく「面白い仕事がしたいよねー」と言うものですが、DRMの世界ではクリエイティブに「面白さ」だけでなく、数字を稼ぎ出す「機能」も含んでいかなければなりません。前述のストーリーも、実は「必須機能」の一部だとおわかりいただけると思います。
「形の創造」から「価値の創造」へ。これからのデザインは、「人を動かす」大きな組織的な概念であると、私たちは考えているのです。
