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「初回訪問で如何に胃袋を掴むか、そこが勝負」
売上高1,000億円目指すオイシックスの成長秘話


2ケタの増収増益、定期購入者の安定が要因

 黒字化を遂げ、13年に株式を上場。ここ数年のオイシックスの成長はめざましい。

 10年3月期に69億7,100万円だった売上高は、翌期には前期比17.7%増の82億1,000万円に拡大。12年3月期は同53.5%増の126億900万円まで売上高が増え、直近決算の13年3月期は同15.5%増の145億7,500万円まで成長した。

 経常利益も同様に右肩上がり。10年3月期に2億4,400万円だった経常利益は翌期に3億4,000万円(前期比39.3%増)に拡大。12年3月期は5億9600万円(同75.2%増)を計上、13年3月期には同22.9%増の7億3,300万円まで増加した。売上高、経常利益ともに2桁台の高成長を続けている。

 こうした高成長性を支えているのが定期購入者と購入頻度の安定的な増加、購入単価の向上にある。

 定期宅配会員の「おいしっくすくらぶ」の会員数は13年3月期時点の会員数は約7.3万人(2013年5月13日時点では約7.6万人へ増加/詳細)。会員1人当たり月2回は定期販売を利用する。年間換算すると計24となり、13年3月期時点の平均購入単価は1回あたり5,831円となる。「おいしっくすくらぶ」の会員だけで、年間100億円超を売り上げるのだ。

 他には単品定期宅配会員「おいとく」の会員数は13年3月期に3万6,000人を突破。7,400人程度だった2年前(11年3月期)と比べると5倍近い規模にまで広がっている。

成長の源泉は徹底した品質の向上

 「ネット上のスーパーマーケット」として躍進するオイシックスだが、宅配ビジネスでは大地を守る会、らでぃっしゅぼー、近年はネットスーパーの台頭などで経営環境は決して良い状況とはいえない。消費者の財布の紐が固くなり、競争環境が厳しくなる中、どんな成長に向けたマーケティングを施したのだろうか。

 「まず1つは商品」と堤取締役は言う。ただ、有機野菜というだけではなく、オイシックスだけしか購入できない「差別化できる商品を取り揃えた」(同)

 オイシックスの企業理念は「豊かな食生活をより多くの人に」(同)。「豊かな食生活」にはさまざまな定義があるが、オイシックスは「美味しくて安全な商品を簡単に届けること」(同)を追求してきた。「既存の有機野菜のマーケットは安心・安全に特化していたが、オイシックスでは安心・安全は当たり前」(同)。「美味しい」を追求するため徹底して商品の質向上に取り組んだという。

 その1つの取り組みとして上げられるのがオイシックス主催の「農家・オブザイヤー」。消費者からの投票で最も「おいしい」を獲得した農家を表彰するアワードで、10年近く続けている。

 アワードを受賞した農家はレッドカーペットを歩き、多くの関係者の前、ECサイトで表彰される。普段スポットライトを浴びない農家に焦点を当てることで、「農家の意識が変わり、(受賞を逃した農家は)次こそは受賞しようと品質向上に取り組む」と説明する。

オフィスで利用するコップでも告知している
オフィスで利用するコップでも告知している

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安定的な売り上げをもたらす定期購入、売上高の9割占める

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TAMA(タマ)

 流通系専門紙の編集に携わる。現在、サラリーマンをしながら、フリーライターとして執筆活動中。活動ジャンルはITと流通周り。

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2013/06/25 09:43 https://markezine.jp/article/detail/17841

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