野菜は売上の4割、残りは加工食品など
オイシックスの事業内容を思い浮かべると、「野菜のネット通販会社」と答える人は多いのではないだろうか。
だが、ECサイトのタイトルに記載されているように、オイシックスは「有機野菜などの食材宅配 ナチュラル&オーガニック・ネットスーパー」とある。それを示すように、全社売上高で野菜関連が占める割合は3~4割程度で、残りは加工食品など。野菜のECからはじまったオイシックスは、今や「ネット上のスーパーマーケット」に変遷しているのだ。
苦労した農家の開拓、単月黒字化には3年要す
オイシックスが「野菜のEC会社」と認知されるようになったのには、創業に関する強いエピソードがあるからだろう。今年6月、オイシックスは会社設立から13年を迎えた。遡ること15年、98年はECをはじめる企業が出始めた時期にオイシックス(当時は有限会社コーへ―)はECをはじめた。
当時大学生で創業メンバーの1人、堤祐輔取締役EC事業本部長らは、ECで成功するためのビジネスモデルを模索していた。旅行の航空券、シルバーアクセサリーのネット販売なども手掛ける中、将来的な成長の可能性を感じたのが食品分野だった。
当時競争相手がいなかった食品のEC。中でも扱いの難しい野菜に決めた。そして00年6月、社名を「オイシックス」に商号変更し、有機野菜の通販サイト「Oisix」を開設した。実店舗のスーパーで野菜を購入することが当たり前の時代。ネットという新たな販売手法による市場開拓の挑戦がはじまった。
「食品の流通業界は数兆円の規模があり、コンペティターがいなかった分野だった」(堤取締役)ことが食品分野のECに参入した大きな理由だが、他にも勝算があった。「(農業は)商品を食べる人と作る人のギャップが大きい」(同)。こうしたギャップの大きさ、矛盾の解消にこそ、ビジネスチャンスがあると感じたのだ。
商品開拓含めゼロからのスタート。卸市場で農家の電話番号を調べて1件1件農家にアプローチ。ほぼ全ての農家に断られる中、唯一取引に応じたのが千葉県の有機野菜を作る農家だった。千葉県の農家から有機野菜を仕入れ、販売。「販売した5個のうち3個にクレームがきた」と堤氏は当時を振り返る。
地道な農家開拓、サイトの構築などを重ねたが、単月黒字化までにはEC開始から3年を要したという。