“とりあえずリリース”がいいこととは思わない
―― コーディネートを通じて、ユーザーはiQONを楽しんでいるようです。御社はなぜそんなサイトを提供することができますか。
まず挙げられるのが、絶対的な技術力です。蒸気機関車から産業革命が起こったように、イノベーションに必要なのはマーケティング力よりも技術力だと思っています。
―― 具体的には、どんな技術ですか。
画像が多いサイトを、ストレスなく見せることにはとても注力しています。この点、共同創業者のエンジニアが力を発揮していますが、それと同じくらい大切なのが「人力(じんりき)」です。

―― 急にアナログになりましたね。
iQONでは契約するブランドの商品を販売していますが、ブランド側から情報提供頂いた商品すべてを扱っているわけではありません。商品を一つひとつを見て、「カワイイ」と思えたものだけを並べています。
―― 基準は「カワイイ」ですか。
販売サイトでありながら、コーディネートを楽しむサイトでもあるので、例えばババシャツは必要ないんです。また普通の販売サイトなら、素材やボタンをアップにした写真も掲載しますが、コーディネートを楽しむiQONには必要ありません。
―― 「Yahoo!ニュース トピックス」に並ぶニュースは、自動的に並ぶのではなく、編集スタッフがタイトルを考えてアップしているといいます(参考:Yahoo!ニュース トピックスが13文字である理由)。
当社も、ブランド側から提供された商品を、1枚1枚目視で確認していますよ。実際のページ制作はスタッフが行っていますが、私も「超マイクロマネジメント」で関与しています。
―― 2月にはスマートフォン用のアプリもリリースされましたが、これも人力ですか。
時間かけました。開発に1年かかってます。
―― なぜ、そんなに?
当初、コーディネート機能はつけていなかったんです。技術的にも無理だと思っていましたし、スマホの小さい画面ではコーディネートしづらいと思っていましたから。
―― でも、コーディネート機能はiQONになくてはならないものでは?
そうなんです。だからリリース予定を延期しました。そもそも自分専用のPCを持っている女性は少ないですから、「スマホではできない」とさじを投げるのはおごりだと思いました。
―― 一度リリースしたあとに、機能を追加していくという方法もあります。なぜリリースを延期しましたか。
アプリの受託制作を行った経験から、中途半端な状態でリリースすると、「怒りのレビュー」がぶち込まれることを知っていたんです(苦笑)。ユーザーはアプリをダウンロードする際、レビューや評価ポイントを見ますから、一度レビューが荒れると取り返しがつかなくなるのです。
―― 現在の評価はいかがですか。
おかげさまでレビューは約2,000件、5点満点中4.5の評価を頂いています。最初のリリースは「星5つでないと」と思わせるクオリティにこだわりました。でもリリース後は「スピード重視」に転じ、1か月に6~7回のバージョンアップをしています。