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アトリビューション分析のフレームワークを構成する6つの視点とは?【アトリビューション編:第5回】

アトリビューション分析の結果を統合する

 このように細かいセグメントに分けて「分析」したあとは、それらを「統合」的に判断して、メディアプランを再構築していきます。これを予算のリアロケーション(再配分)と呼んでいます。

 「分析(Analyze)」と「統合(Synthesize)」は対の概念で、非常に重要です。分析しただけで終わったら何の意味もありません。分析したものを統合し、ソリューションに落とし込み、それを実行して初めて意味があるものになります。

 アトリビューション分析の結果を「統合」するとは、分析結果を元にしてシミュレーションをおこない、そのシミュレーション結果をできる限り反映させながら予算のリアロケーションをおこない、新しいメディアプランを実行に移すことです。

分析⇔統合のプロセスを繰り返し、少しずつコンバージョンを増加させていく

 単純なシミュレーションをおこなうと、同じ予算でコンバージョンが200%増加するという結果が出たりします。しかしながら、単純に効率のよいクリエイティブに予算を集中させるとそのフリークエンシーが増加し過ぎて逆に効率が悪化するということが起こったりします。同じ広告を何度も見せられると逆にユーザー離れが起こることがあり得るのです。そのような点も勘案して数値化しシミュレーションに反映させていきます。このようなシミュレーションの精緻化のプロセスも、分析結果を基にして統合的におこなっていきます。

 さらに、在庫の問題もあります。効率の高い媒体があるからといって、すべての予算を消化するのに十分な在庫があるとは限りません。そのため、在庫という要素もシミュレーションする際の検討材料になります。

 そして、部署間の予算配分もあります。多くの企業の場合、バナー広告などは宣伝部で管轄し、リスティング広告などは販促部で管轄していることがあります。そして、それぞれ予算額が決まっていて簡単には変更できないケースがあります。そうすると、その点も考慮して予算配分をしなければなりません。

 さらに、複数の広告代理店が関与していることが多いのです。そこには、ある種の政治的な判断も加わり予算が分配されていたりします。そうなってくると、アトリビューション分析の結果、効果が悪いと判断されたバナー広告も簡単には予算削減ができなかったり、できたとしても、シミュレーションどおりに削れるとは限りません。

 よって、アトリビューション分析結果に従い、素直にシミュレーションをすると同一予算で200%もコンバージョンが増加するという結果になったとしても、さまざまな点を統合的に検討してメディアプランを再構築すると、結果的に同一予算で20%の増加になったというようなことは頻繁におこります。

 このような「分析」⇔「統合」のプロセスを繰り返しおこなうことで、縮小最適化に陥らずに、少しずつコンバージョンを増加させていくことができるようになるのです。

 オンラインのアトリビューションで大事なことは、この「分析」と「統合」を繰り返すPDCAを回し、ラストクリックの評価で陥ってしまう縮小最適化を回避しつつ、コンバージョンをできるだけ継続的に増加させていくオペレーションをしていくことだと考えています。

 今回はオンラインアトリビューションについて、フレームワークを使った分析などを一緒に見てきました。次回は、オフラインアトリビューションについて解説していきます。

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/06/18 08:00 https://markezine.jp/article/detail/17866

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