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アトリビューション分析のフレームワークを構成する6つの視点とは?【アトリビューション編:第5回】

そのバナー広告は無駄なのか、それとも有益なのか?

 ところで、先ほどの旅行系のサイトの例では、最初に海外旅行のバナー広告をクリックしていました。では、このバナー広告は無駄だったのでしょうか。

 ラストクリックだけの情報で評価する場合、この最初の海外旅行のバナー広告をクリックしたことがきっかけで最後に箱根温泉を予約したということは分かりません。つまり、評価されないのです。コンバージョンに貢献しているかどうかが分からないので、無駄だったと評価される可能性があります。

 これに対して、3PASでコンバージョンに至る経路のデータを取得して評価すると、このような一連の流れが分かるので、この最初の海外旅行のバナー広告が初回訪問のきっかけになっていたということが分かります。つまり、役割があったと分かるわけです。

縮小最適化で一番損をするのは広告主

 一昔前は、コンバージョン直前のラストクリックだけを評価していました。そうすると、ラストクリックに強い媒体を高く評価してしまいます。ラストクリックに強い媒体というのは、一般的に、リスティング広告やアフィリエイトなどです。これらは、コンバージョンに至る経路の中で最後にクリックされることが比較的多いのです。

 その反対に、ラストクリックに比較的弱い媒体があります。一般的に、純広告系のバナー広告やSNSなどです。コンバージョンに至る経路の中で、最後にクリックされることが比較的少ないのです。

 つまり、ラストクリックの情報だけで媒体を評価するのは、かなり偏った評価方法です。ラストに強い媒体のみを高く評価し、ラストに弱い媒体は低く評価してしまうのです。そのような評価方法に基づいて広告予算の配分を行うと、必然的に、ラストクリックに強い媒体に予算が集中するという大きな過ちを犯してしまいます。

 これで一番損をしてしまうのは、広告主企業です。あきらかに間違った尺度で効果を測り、そして、それに基づいてあきらかに間違った予算配分してしまいます。それを繰り返しおこなうことをPDCAだと思い込み、縮小最適化に陥ってしまうのです。

 この負のスパイラルから脱却するには、3PASで取得したコンバージョンパスデータ(コンバージョンに至る経路データ)を使ってアトリビューション分析を行うことが役立つのです。

次のページ
アトリビューション分析のフレームワークを構成する6つの視点

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/06/18 08:00 https://markezine.jp/article/detail/17866

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