ウェブ解析の発展
「Google アナリティクス」は、2005年のGoogleによるUrchin買収を境にビーコン型のウェブ解析ツールとして、この8年の間にすさまじい勢いで発展してきました。アクセス解析の仕組みは、サーバーログ型、パケットキャプチャ型、ビーコン型の3種類に大別されます。ビーコン型は、ブラウザ上のJavaScriptで計測する仕組みをとっており、他のふたつがサーバー側で動作するのに対し、クライアントのブラウザ上で動作します。
ウェブサイトのアクセス解析では、ビーコン型が出てくる前から、ログ型のツールも活用されてきました。ログ型はサーバーログを収集し、蓄積されたログを専用マシンで分析にかけます。解析するサーバー環境によっては、解析完了までに数時間かかる場合もあります。もちろんログ型やパケットキャプチャ型のアクセス解析にもよい点はありますが、マーケティングやウェブ広告に生きた情報として活かすという点では、専用のサーバー環境を準備する必要がなく、手軽に始めることができる、ビーコン型のウェブ解析ツール、またその代表的なツールであるGoogle アナリティクスの機能に優位性があると言えます。
Google アナリティクスには、リアルタイムで主要なアクセスデータをレポートする機能があります。また、「Google アナリティクス プレミアム」(有償版)となれば、4時間前の全アクセスデータをレポートとして解析することが可能です。ネット上のビジネス競争が激化する中、デジタルマーケティング戦略を実践する場合は、時間との戦いになります。即時にデータを解析し、デジタルマーケティングに活かすことができる点でもビーコン型の解析ツールが適していると考えます。
さらに直近の動きとしては、2011年頃から始まったスマートフォンの普及に伴い、ソーシャルメディアが爆発的に活用されはじめ、オウンドメディアだけではなく、アーンドメディア、ペイドメディアのデータも解析対象となりました。インターネットでつながるウェブメディア全体が解析対象となり、ウェブ上のデータすべてを解析するという意味での「ウェブ解析」の時代がやってきたのです。これが2012年前半での多くの企業ウェブサイトを取り巻く状況と言えるでしょう。
ウェブ解析からデジタルマーケティングプラットフォームへ
2012年後半、Google アナリティクスはまた新しい進化を遂げました。この進化を起点として、今後ウェブ解析を取り巻く環境は大きく変化していくと感じています。
そのひとつが、前回記事で取り上げた「ユニバーサル アナリティクス」機能の発表です。これはマルチデバイスはもとより、オフラインデータ、外部情報系システムとの連携を実現するもの。このユニバーサル アナリティクスが企業でも実装レベルで活用されてくれば、もはやウェブ解析という枠組みを超えたデジタルマーケティングにおける基盤となっていきます。
本連載のテーマである「Google アナリティクス リマーケティング」といったウェブ広告の機能との連携が今後も広がっていき、配信側のシステムとの連動が一般的になれば、まさにデジタルマーケティングプラットフォームの一部として、Google アナリティクスをはじめとするウェブ解析ツールは活用の幅を広げていくことになるでしょう。