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FEATURE

コカ・コーラがコーポレートサイトを一新、企業の情報発信の新たなカタチ「Coca-Cola Journey」とは?

コーポレートサイト「Coca-Cola Journey」のコンセプト

――そのコーポレートサイトを6月25日に大きくリニューアルしたわけですが、このプロジェクトはどのように始まったのでしょうか。

 日本のコーポレートサイトのコンテンツは、デジタルマーケティングの部署と広報部で連携して担当していまして、去年の8月、9月ぐらいから来年のコンテンツのアイデア出しを始めました。そんな中、まずグローバルが11月に今回のサイト「Coca-Cola Journey」のコンセプトに基づき、サイトを大きくリニューアルしました。

――コポーレートサイトとしての「Coca-Cola Journey」の新しさというのはどういう点にあるのでしょうか。

 今までの企業サイトは、自分たちのストーリーを礼儀正しく、ファクトベースで提供してきた。それに対して「Coca-Cola Journey」は、企業としての思いをもっとダイナミックなストーリーテリングで語っていくというのが特徴だと思っています。

 私はコカ・コーラというブランドの広報をずっと担当してきたのですが、コカ・コーラは認知度が98~99%。そうなると、いかに報道してもらうか、露出するかということはそれほど求められていなかったりします。むしろ企業やブランドのあるべきストーリーや文脈に添わないかたちで載っても意味がない。ブランドとして語るべきことがちゃんと語られているのかということが重要です。

 さきほど、インプレッションとエクスプレッションという話をしましたが、お客様が受取った情報をどのようにエクスプレッションするかを我々がコントロールできるわけではありません。企業にとって重要なことは、自分たちのストーリーを、自分たちのあるべき姿として持っていること。それをやるのに「Coca-Cola Journey」というプラットフォームは適しているのかなと思います。

――最初にそのコンセプトを伝えられたときの反応は?

 驚きもありましたが、「これは日本でもいけるのではないか。逆にこういうこともやっていかなければならないのでは」と感じました。情報が飛び交う時代になり、私自身も企業広報の立場で、企業の情報発信のあり方についてある種の難しさを感じていました。そんな中で、企業があるべきストーリーを出すということは非常に有効だと思いました。同時に、グローバルのコンセプトは継承しつつも、日本のコーポレートサイトに求められるものもきちんと提示していく、両者をうまく融合できればと思っていました。

――「Coca-Cola Journey」という名称は、どこから来ているのでしょう。

 「Journey」というのは、もともとグローバルのコカ・コーラの社内報の名前だったようです。英語のことわざで、"Success is not a destination but a journey."というのがあって、直訳すると「成功というのは目的ではなくて、いつまでも続く旅なんだ」ということでしょうか。ウェブサイトも絶対に正解なんかない。常に何かを追い求めてやっていくという意味では同じだなと思います。

社長やオピニオンリーダーが登場する、多様な日本独自コンテンツ

――日本版「Coca-Cola Journey」で展開するコンテンツについて教えてください。

 グローバルのコンセプトを踏襲しつつも、コンテンツについては日本独自のものを提供したいと考えています。わかりやすくいうと10個のトピックを「Coca-Cola Story」として展開します。

 まず『ブランド』、これは製品についての情報ですが、ブランドサイトで取り上げないようなことを紹介していきます。『ライフスタイル』は「炭酸」や「スポーツ飲料」といったカテゴリー全体の話で、そのカテゴリーがどういったベネフィットを持っているかを紹介します。でも「カテゴリー」だと一般の方にはわかりにくいので、「ライフスタイル」という言い方にしています。コカ・コーラは音楽イベントの共催もしているので、そういう部分も含んだ広がりを持っています。次が『自動販売機』です。

――自動販売機ですか?

 自動販売機は日本独自のものであると同時に、ビジネスのチャネルとして非常に大切なもの。自動販売機はいろんな工夫がされていて、街のインフラとしての機能もあります。そういう自動販売機の社会的な価値をきちんと伝えていきたいと思っています。

 ビジネス全般のストーリーについては『ビジネス』で紹介し、もうひとつ『イノベーション』というトピックも立てています。たとえば現在導入を進めている省エネ機能に優れた「ピークシフト自販機」というのもイノベーションですし、昨年発売した「太陽のマテ茶」というのも、お茶飲料のカテゴリーに、新たなニーズを掘り起こしたマーケティング上のイノベーション。ここでは私たちコカ・コーラシステムが手がけている様々な領域でのチャレンジとそこから生まれる新しい価値について紹介していきたいと思っています。

 『パートナー』では、オリンピックやFIFAワールドカップ、あるいは他社とのコラボレーションなどのほか、全国のボトラー社が進めている自治体と行う災害支援などのパートナーシップを紹介できればと考えています。『ピープル』では、コカ・コーラ システムの成長を支える様々な立場で、様々な業務に就いている人たちを紹介します。『サスティナビリティ』はCSRについて、『歴史・文化』はコカ・コーラが世界で125年以上、日本でも50年以上にわたり積み上げてきた歴史の中で培ってきたものを取り上げます。最後の『グローバル』は、海外のJourneyサイトのコンテンツから各国の取り組みについて紹介します。

――これだけで、ひとつの雑誌くらいのバラエティとヴォリュームがありますね。

 コカ・コーラは1本の飲料を売るビジネスですが、そのためにいろんなことをやっています。コカ・コーラだからこそ持っているストーリーを知りたいと思っている人々に届けることで、その情報を受け取った人が、誰かにシェアして行動を起こすというところまで持っていきたい。コカ・コーラについての学びを提供するというところから日本版「Coca-Cola Journey」をスタートしたいと思っています。

――具体的なコンテンツを見ると、日本コカ・コーラ社長のティム・ブレット氏と竹中平蔵氏の対談、三浦和良氏のインタビュー、ライフスタイルプロデューサー 村上萌さんのコラムまで、本当にバラエティに富んでいます。

 立ち上げなのでだいぶ気合いが入っていますが(笑)、読んでもらってそれについて会話してもらうことを意識しながら、企業としてのメッセージをデリバーしていくということをやっていけたらと思っています。バラエティがありすぎて「ターゲットは誰なの?」と感じる人もいると思うのですが、それが逆にコカ・コーラらしいとも言える部分。とはいえ、コーポレートサイトなのでバランスも大事です。振り切りすぎて自己満足になってはいけない。企業体コカ・コーラとしてのあるべき姿勢を伝えながら、読んでくれた人に何かを残せたらと思っています。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/06/28 11:00 https://markezine.jp/article/detail/17990

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