ネイティブ広告とは何か?
さて、ここで問題なのは、肝心の「ネイティブ広告」とは何なのかである。バズワードとして米国のネット広告業界では認識されてきたが、その定義や目指す方向は立場によって異なっている。そこで米インターネット協会(IAB)も定義を固める必要に迫られ、先ほどネイティブ広告のタスクホースを設立したばかりである。

一方で、試行錯誤の段階かもしれないが、ネイティブ広告とみなされている新しいインターネット広告モデルが既に数多く走り出している。そのネイティブと銘打った広告の共通項をまとめると、次のようになる。
(1)広告コンテンツはスポンサー(広告主)が独自に提供する。原則として、メディアの編集者は関与しない
(2)消費者が、メディア編集コンテンツと同じようなルック&フィールで、広告コンテンツ(スポンサー提供コンテンツ)にも接触できるようにする。ただし広告コンテンツには“広告”と明記する
(3)広告コンテンツは消費者(掲載メディアのユーザー)にとって役立ち、あるいは面白いものにする
(4)モバイル端末にも適応できるフォーマットにする
具体的には、(2)を実現するために、編集コンテンツと広告コンテンツは、フォーマットやレイアウトを合わせるようにしている。この結果、編集と広告をあまり識別しないで消費者が接することになる。さらに広告コンテンツも、企業の商品やサービスを売り込むような一方的な内容ではなくて、(3)で示したように消費者が欲する情報とする。この連載の前半で触れた「ブランデッド・コンテンツ」も、その類である。

ネイティブ広告をうまく運用できれば、編集コンテンツから享受できる同じようなメディア体験を、広告コンテンツからも消費者に提供できるということだ。メディアでは本来、広告も消費者にとって重要な情報として受け入れられるべきである。ところが広告が消費者にとって雑音情報化し、広告は無視される流れが出てきており、それだけにネイティブ広告への期待が膨らんでいるのだ。