環境整備が進み、世界的に盛り上がる
『テレビ × スマートデバイス × ソーシャル』
2000年の創業以来、最先端のデジタルのクリエイティブを手がけてきた株式会社バスキュール。近年では、「テレビ × スマートデバイス × ソーシャル」による案件を多数手がけ、多方面から注目を集めている。事例が急増している背景について、同社プロデューサーの西村真里子氏は、「かねてからテレビとネットとの融合によるマーケティングにニーズはあったが、ようやく実現するための環境が整ってきた」と語る。
最も影響が大きいのはスマートフォンやタブレットといった、スマートデバイスの普及だろう。加えてメーカーでは、ネットと連携しやすい「スマートテレビ」の開発・提供が行われ、テレビ局などコンテンツ配信側では、放送と通信を機能的に連携させる「システムハイブリッドキャスト」などの基盤づくりが進んでいる。また、ITベンダーでも、テレビを視聴しながら使えるスマートデバイスアプリの開発が急増しているという。
そしてもう1つ、ネット連携の起爆剤となっているのが、ソーシャルメディアの普及だ。TwitterやFacebookなどを使用したソーシャルメディアによるコミュニケーションが一般化し、たとえば、テレビを見ながらソーシャルメディアにつぶやくといった行動もごく当たり前に行われるようになった。そうしたコミュニケーションをマーケティングに活かさない手はない。いや、むしろ「活かさなければリーチできない可能性が出てきた」と西村氏は指摘する。
「これまではパソコンで検索して見てもらうのが一般的だった。しかし、どんどんコンテンツも増え、アクセス経路も複雑化するなかで、キャンペーンサイトを作ってバナーを張り、クリックを求めるというアプローチでは訴求したいターゲット層に到達できないことが増えてきた。とはいえ、すべてに対応するのは難しい。そこで、バスキュールでは、魅力的なメディアを開発し、そこに呼び込むというアプローチを選択した」
西村氏は、2013年1月に米国ラスベガスで開催された「セカンドスクリーンサミット」の盛況ぶりに触れ、「『セカンドスクリーン』『ソーシャル視聴』などのマーケットに参画するプレーヤーは急増している。BMWやアップルなどの大手企業が新しいマーケティングの手法として注目していることも大きい」と紹介。「世界中で『テレビ × スマートデバイス × ソーシャル』は大いに盛り上がりつつある」と強調した。
スクリーンとリアル、ネットが融合したプロモーション施策
「THE FUN GATE」がデジタルサイネージアワードを受賞
このような世界的な潮流の中で、バスキュールはいち早く様々なプロジェクトを手がけ、注目されてきた。その1つであるKDDI株式会社の「auスマートパス」のプロモーション施策「THE FUN GATE」が、「デジタルサイネージジャパン2013」のデジタルサイネージアワード ゴールド賞を受賞している。
それは、新宿駅前の公道スペースに巨大なゲートを設置し、ゲートを通行した人の顔をポリゴン化して、auスマートパスのテーマ曲を歌うアニメーションキャラクターとして合成するというもの。その場に設置されたモニターに登場するだけでなく、自身のPCやスマートフォンにも取り込め、ソーシャルメディアにも発信できるという仕組みになっており、テレビ画面とリアル、ネットが融合したユニークな施策となっている。2012年3月3~4日の2日間で約1万人がゲートを通過し、そのうち約5,000パターンのアニメーションバナーが生成された。