アクティブ率、リピート率、偏差値、投稿回数の関係を可視化
前述した分析アプローチに基づき、「アクティブ率」、「リピート率」、「エンゲージメント率の偏差値(以下、偏差値)」および「投稿回数」の関係を可視化しました。バブルチャートの大きさは、偏差値の高さ(=Facebookページ規模から見たエンゲージメント率の高さ)になります。
上記のようにプロットすることで、以下の3つの傾向を把握することができました。
1.同程度のアクティブ率で企業を見た際に、グラフの上側ほど偏差値が高くなる
2.同程度のリピート率で企業を見た際に、グラフの右側ほど偏差値が高くなる
3.アクティブ率向上には、投稿回数の多さが寄与する傾向にある
自社の立ち位置によって戦略を変えるべき
エンゲージメント率向上のためには、「アクティブ率」、「リピート率」どちらも重要なのはわかっていましたが、さらに図式化し比較することで、エンゲージメント率向上に有効な方法はページによって異なることが見えてきました。
以下の図において、青丸の領域に自社のページがあった場合、偏差値を上げるためには、1か2の方向に向かうことが必要です。ここで2つの軸に着目すると、アクティブ率は全体の中央に位置していますが、リピート率は相対的に低く、まだ伸びしろがありそうです。
効率的にエンゲージメント率を向上させるためには、伸びしろのある1の方向を選択することが有効であり、 熱心なファンに向けた投稿を行うなど、リピーター数を増やすための施策を実施するなどの方法が考えられます。
次の図では、逆に、4に伸びしろがあり4の方向に進んだ方が、効率がよさそうです。このためには、一般ウケする内容を投稿に盛り込み、一人でも多くのファンに反応してもらう、もしくは、投稿回数を増やし投稿がファンの目に触れる機会を増やすことが考えられます。
このように、自社のエンゲージメント率の中身を「アクティブ率」と「リピート率」の2軸に分解し、偏差値と一緒にプロットすると、自社の立ち位置を把握することができます。これにより、どういった戦略をとれば効率的にエンゲージメント率が高められるか、道筋を立てることができます。
リピーターが多い、もしくはアクティブ率が高いコンテンツとは
これまでの内容から、エンゲージメント率向上への道筋は見えました。では実際に「アクティブ率」や「リピート率」をどのような手段で投稿していけばよいのでしょうか。
今回はプロ野球チームの楽天イーグルス、東京ヤクルトスワローズのFacebookページと、大手ポータルサイトのヤフーとMSNのFacebookページを対象として選びました。これらのFacebookページにおいて「リピーター」が多い、もしくは「アクティブ率」の高いコンテンツをピックアップし、投稿内容の傾向を確認してみます。
リピーターが多いコンテンツ
リピーターが多いコンテンツの上位をピックアップすると、例えばプロ野球の「キャンプイン情報」やサービスの「リニューアル告知」のように、「かなり熱心なファン」及び「関係者がシェアしたくなる」コンテンツという傾向が見てとれました。
アクティブ率が高いコンテンツ
アクティブ率が高いコンテンツの上位では、楽天イーグルスの「勝ちました」や、「芸能人/スポーツ選手/キャラクターが出ている」コンテンツ、ヤフーの「ホワイトデー」のように、熱心なファンでなくても、いいね!を押しやすい「そのブランドと関係がなくとも押したくなる理由(かわいい!おもしろい!おめでとう!など)」が含まれているコンテンツ、という傾向が見てとれました。
前項で示した方法で自分の立ち位置と進むべき方向が定まったら「アクティブ率をあげる方向に進む」、もしくは「リピート率をあげる方向に進む」という課題ごとに、上記のような対策コンテンツを用意することで、結果的にエンゲージメント率向上につながる可能性が高まるのではないでしょうか。
エンゲージメント率向上のTips
今回の分析はあくまでサンプルとしてピックアップしたFacebookページからわかる傾向となるため、すべてのページに有用な方法でないかもしれません。しかし、今回の分析を通じて「エンゲージメント率向上」に対して以下のようなTipsがみえてきたと考えています。
- まずは「アクティブ率」、「リピート率」でみたときの「自社に不足している」部分を把握し、向かうべき方向を決める
- アクティブ率向上には“企業やブランドにそこまで熱心でない人でも「いいね!」したくなるコンテンツ投稿”を増やす
- リピート率向上には“熱烈なファンの興味を引く濃い内容のコンテンツ投稿”を増やす
エンゲージメント率という数字だけでは、中々見えてこないステップかと思います。「最近エンゲージメント率が上がらないなぁ」という悩んでいる方は、今回お伝えした内容を参考に、一度ご自身が担当するFacebookページのエンゲージメント率の“中身”を把握してみると良いのではないでしょうか。
これ以外にもエンゲージメント率向上のためのTipsはまだまだ隠れていると思っておりますので、今後の研究テーマとして、さらに深堀りをしていこうと考えております。ぜひご期待ください。



