会社のはじまりが「おもてなし」に近い
中澤:今、御社では「おもてなし」をテーマに事業を行っていると伺いました。一方的にメールマガジンを送る、自社の宣伝ばかりするのではなく、もっとお客様のニーズをくみ取り、相互の関係性を高めようとする動きなのかな、と理解していますが、実際のところどんなことを「おもてなし」と考えていらっしゃるのか伺えますか。
西井:当社の場合、会社のはじまりが「おもてなし」に近いかもしれません。ドクターシーラボを創業した城野親德は皮膚科医で、化粧品を使ったトラブルの症例を多く診てきました。せっかくお金と時間をかけて治療し、一度治ったのにまた化粧品で肌荒れを起こしてしまい、治療に戻ってくる患者さんがたくさんいたんです。それで、治療後もずっと使えるスキンケア用品を作ったのがドクターシーラボの商品の始まりです。
中澤:確か、遠方から治療にいらっしゃる方も多いクリニックだと伺いましたが…。
西井:そうなんです。クリニックは現在も、本社があるビルの敷地内にあります。治療後に処方するスキンケア用品だったので、そのためだけに遠方から何度も足を運んでくださる患者様もいらっしゃいました。ドクターシーラボ設立前は法人ではなかったので宅急便で「代金引換」の対応はできなかったのですが、法人化にすることで、スキンケア用品を代引きでお届けできるようになったんです。
中澤:そんな話があったんですか! 御社とは長いお付き合いですが、知りませんでした(笑)。「商品を届けるために、お医者様が創業した」というDNAは、社内にどのように残っているのですか。
西井:創業して15年経ちますから、正直、効率重視に陥りそうになったことはあります。たとえばコールセンターでは、効率性を重視し、通話時間をKPIにしていたこともありました。短ければ短いほどいい、という発想で。でもいまはどれだけ時間をかけてもいいので、お客様の喜びの声をいただくことを優先しています。お客様としっかりお話することで、長期的にドクターシーラボの商品を愛用いただくことが大事だと考えて、一回あたりの通話時間という指標をなくしました。
また、お客様の声はカスタマーサポートの担当者だけではなく、弊社の社長を含めた経営陣もひとつひとつ目を通します。商品やサービスの開発にも活かされていますし、そういった一人ひとりの声にじっくり耳を傾けるという姿勢は、当社の大切なDNAのひとつですね。