効果測定ツールだけでは不十分
検索連動型広告を、消費者の意識変化を分析するマーケティングツールとして活用するとなると、媒体側から提供されているレポートだけではもはや不十分となってしまいます。さらに消費者が検索連動型広告やリターゲティングなど複数の広告メディアに接触することが当然となっている以上、運用型広告をきちんと運用するための第一歩は効果測定ツールを導入し、詳細にレポートを分析する、ということが必要になるわけです。
そうでなければ、いま自社にとって運用型広告から発生しているコンバージョンの数すらわからないということになり、つまりそれは運用ができていないということになります。
では効果測定ツールを導入すればそれですべてが収まるのかというと、現実的にはそうはなりません。というのもコンバージョンのデータだけでは、運用効率(CPA/ROAS)など実際に運用するべき広告媒体側のデータがわからないからです。どの媒体でいくら使っているのか、どの広告のCPCがいくらだったのか、という広告配信側のデータがそこになければ運用をすることなど不可能です。広告を運用する中で当然単価のコントロールや原稿の差し替えなどの作業が発生するわけですが、原則的にはコンバージョンのデータだけでなく、そのコンバージョンを発生させた広告媒体のデータが存在していない状況ではそういった作業を実施する際の意思決定ができなくなってしまいます。
そこで必要になるのがAPIを活用したキャンペーン管理ツールです。APIとはApplication Programming Interfaceの略称で、特に本連載では広告媒体側の裏側に直接つなぎこみ、データ取得や編集、入札管理などを自動化する仕組みのことを言います。
単純な効果測定ツールではなく、APIを駆使して媒体側と接続しているツールを活用することで、コンバージョン件数だけではなく、実際にいくら使ってどれくらいのパフォーマンスだったのか、どこに問題があってどう改善するべきなのかといったことがより手間をかけずに、スピーディーに意思決定ができるようになります。
自動入札ツールを見直そう
では、どのようなツールを使うと、今まで書いたようなことが実現するのでしょうか? 残念ながら、すべてを包含しているツールは国内外を見渡しても存在しないといってもいいでしょう。DSPと検索を融合した管理でいえばView-through Conversionの取得が必要なこともあるでしょうし、逆にDSPを重視するあまり検索連動型広告の機能が貧弱では、やはり統合管理は難しいと言えます。
ここで目を向けてほしいのが、日本では2004年ごろから徐々に使われている検索連動型広告管理における自動入札ツールといわれるツール群の存在です。
米国では2000年代初頭から登場している「自動入札ツール」ですが、流れの早い米国のデジタルマーケティング市場の中でかなり淘汰が進み、現状では自動入札以外にもさまざまな機能を提供しています。
次回は「自動入札ツール」がどのような市場の変化を経て、現状の「キャンペーン管理ツール」へと進化したのかという背景と、基礎的な機能を紹介します。
