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検索連動型広告はこれからどこへ向かうのか

検索連動型広告テクノロジーと広告運用 ―効果を改善するために理解しておきたいテクノロジーの動きと運用の方法論―

Cookie重複問題

 たとえば9月1日に、Yahoo! Japanで「不動産」と検索をしたユーザーがいて、Yahoo!プロモーション広告で、広告主A社のリスティング広告をクリックしたとしましょう。さらにそのユーザーは翌日Googleで「世田谷区 賃貸マンション」と検索をして、同じ広告主A社のAdWordsをクリックし、コンバージョンしたとしましょう。

 このケースでは、Yahoo!プロモーション広告のCookieもGoogle AdwordsのCookieも両方とも存続期間にあるため、一件のコンバージョンでありながら、Yahoo!プロモーション広告のコンバージョンタグもGoogle Adwordsのコンバージョンタグも、両方ともコンバージョンをカウントするため、コンバージョン件数が合計で2件とカウントされてしまいます。

 まだDSPやリターゲティングが普及していなかった数年前であれば、またそもそもYahoo! JapanとGoogleを併用している検索ユーザーの量から考えれば上記のようなCookieの重複問題はある程度無視をしてもよかったのですが、残念ながら現在はそうもいかなくなってきています。

 リターゲティングを上記の例に組み合わせてみましょう。9月1日にYahoo! Japanで検索してリスティング広告をクリックして広告主A社のサイトを訪問したユーザーに対して、リターゲティング配信に使われるCookieが付与されます。さらにそのユーザーがGoogleで検索をする前にリターゲティング広告をクリックして、さらにそのあとGoogleで検索をして、Google AdWordsをクリックしたとする場合、コンバージョン件数は3件になってしまいます。

 現在の広告配信手法は消費者の興味関心に合わせて配信ができるようになり、それぞれのパフォーマンスは数年前とは比較にならないほど向上しています。と同時に興味関心を追いかけるがゆえに、コンバージョンに至るまで複数の広告に消費者が接触することが当たり前になっているという現状が存在しています。これが検索連動型広告だけ考えていればよかった数年前と一番大きく異なる部分です。

検索連動型広告検索連動型広告の重要性

 上記のような流れの中で検索連動型広告の重要性は減衰するどころか、むしろ増しているといってもいいでしょう。

 古くから検索連動型広告に携わっている人であれば「購買サイクル(Purchase Cycle)」という言葉を聞いたことがあるかと思います。元来、検索連動型広告の世界では、自社サービスへのモチベーションはそれほど高くはないが、関心があるであろうユーザーが検索する「ビッグワード」、モチベーションが高まっている途中の「ミドルワード」、最高にモチベーションが高まっているであろう「スモールワード」など、そもそもキャンペーンの構成自体が消費者の態度変容を追いかけるようなものであることが鉄則。このことからも、検索連動型広告そのものが現在の運用型広告を考える上でのベースとなっているといっても過言ではありません。

 検索連動型広告はもともと消費者の意識変化、購買サイクルを追いかけることができる広告手法であり、それは現在も変わっていません。その上、DSPやリターゲティングなどにより消費者の態度変容やCustomer Journeyを分析して広告が配信できるようになったことで、より一層消費者の意識を分析する必要性が高まっていると言えます。

 そういった意味から、検索連動型広告は効果の高い広告チャネルのひとつであると同時に、消費者の意識変化、Customer Journeyを分析するためのマーケティングツールとして活用するべき時代が到来したと言うことができるでしょう。

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効果測定ツールだけでは不十分

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この記事の著者

治田 耕太郎(ハルタ コウタロウ)

ライコスジャパン、アイレップ、オーバーチュア、クロスリスティングに勤務の後、KenshooのAPAC担当バイス・プレジデントに着任。2013年8月に退任し、現在は自身の通称でもあるsembearとして豊富な経験と人脈を生かし、AdTech企業の支援・コンサルティングを中心とした活動を行う傍ら、高度なテクノロジーと人の知見を融合させたデジタルマーケティングの重要性を説く。

鋭い洞察力から語られるBlog「検索エンジンマーケティング考」はSEMのみならず、日本のインターネット広告業に携わる人々から広く支持されている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/10/08 11:00 https://markezine.jp/article/detail/18521

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