効果検証に必要な2つの視点
そして最後のステップは、効果検証。多くの企業において、キャンペーンは1種類を実施して終わりということはない。複数の施策を組み合わせ、その都度に効果を検証して改善するというPDCAのサイクルを速く回していくことで、全体のマーケティング効果の最大化が可能になる。
「ここでは主に2つの視点が必要になります」と片桐氏。例えばメールマーケティングなら開封率やクリック率、コンバージョンなど、各施策の数字をKPIで評価する短期的な視点。次に同じような施策を展開する際には、その結果がノウハウとして利用できる。
もう一つは、長期的な視点だ。例えば先のステップで整備した各顧客セグメント層の増減や、会員数の目標値にどれだけ近づいているか、ギャップなどを常にモニタリングし、マーケティングの特にどの部分に予算を投じていくべきかを戦略的に判断していくことが重要になる。
以上、顧客データの収集統合から効果検証まで、ビッグデータ時代に対応した“顧客起点マーケティング”の実践が解説されたが、当然ながらこれらを手動で行うことはとても無理である。さらに言えば、IT部門などの専門チームしか扱えないソフトウェアでは、社内フローの点で余計な時間がかかり、スピーディーな展開ができない。
目先の目標達成だけでなく、その先にあるデータ分析のメリットを見通す
そこで片桐氏はソフトフェア選択のポイントについて、下記の4点を挙げる。
【ソフトウェア選択の4つのポイント】
1.分かりやすいインターフェース
2.高度な分析技術
3.データ統合・準備および分析プロセスの共有を促進する仕組み
4.各ステップをシームレスに連携した統合基盤
特に1について、「複雑になりがちなコミュニケーションのフローを誰にでも分かる形で整理することで、担当者が変わっても過去の資産を活かせるようになります」と解説する。
例えばある地方銀行では、同一ソフトウェア上でデータ整備からグラフィカルなキャンペーン設計までを行えるSASのソリューションを用いて、新人とベテランで差が生じがちだった営業業務をデータ分析により支援。経験が浅くても、退職金の振込みなどの顧客のイベントに基づいた適切な営業ができるようになり、マーケティングノウハウの共有も促進された。
「データ分析にこれから着手するなら、まずは外部コンサルティングサービスの活用がスムーズですが、データ分析で得られる知見は会社の重要な資産なので、ゆくゆくは社内で分析できる人や組織を育てることをお勧めします。そのためにも、施策立案やノウハウが属人的にならず、共有できるソフトウェア選びが重要です」と片桐氏は強調する。目先の目標達成だけでなく、データ分析の先に生じる長期的なメリットまで見通せる講演となった。
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