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Google アナリティクスのすべらない話

複数のサイトをどうやって計測する?クロスドメイン計測の落とし穴(後編)

ケース1:サブドメインだけが異なる場合

 www.ドメイン名.co.jp と shop.ドメイン名.co.jp のようにサブドメインだけが異なるケースは、比較的容易に対応ができます。Google アナリティクスではCookieの有効範囲をドメイン単位で指定できるので、トラッキングコードに「会社.co.jp を対象とする」という指定を入れておくだけです。

 プロパティIDに計測対象となるドメイン名を正しく指定しておけば、設定画面から取得できるトラッキングコードには挿入されているので、特に何かを設定する必要はありません。

「会社名.co.jp」でCookieを共有する場合(関連個所のみ抜粋、行頭は行数をしめす)

1: ga('create', 'UA-XXXX-1', ' 会社名.co.jp');

2: ga('send', 'pageview');

 その設定を加えることで、Cookieは会社名.co.jpで共有できるようになり、実態に即してユーザが識別されるようになり、サイトをまたいだ広告効果やコンバージョンが正しく計測されるようになります。

異なるサブドメイン間でも正確な訪問者数をカウント
異なるサブドメイン間でも正確な訪問者数をカウント
コンバージョンに導いた広告を正しく判定
コンバージョンに導いた広告を正しく判定

ケース2:ドメイン名が異なる場合

 www.会社.co.jp と www.商品名.com のようにドメイン名が完全に異なる場合は、下記のようにリンクを利用してCookieの値を共有します。

リンクを利用して異なるサイトとCookieを共有
リンクを利用して異なるサイトとCookieを共有

 「www.会社名.com」のページの中にある「www.商品名.com」へのリンクに「?_ga=ABC」といったパラメータを付与します。このパラメータがついた状態で「www.商品名.com」にアクセスすると、「www.商品名.com」では「?_ga=ABC」で指定された「ABC」という値がユーザの識別子として使われます。結果、異なるドメイン名でも同一のユーザとしてみなされるため、正確な訪問者数を割り出すこと・サイトをまたいだケースにおけるコンバージョンの計測、が実現できます。

 ただし、リンクを遷移しないで各サイトに直接アクセスした場合はCookieの共有が行われないため、「2人」としてカウントされます。

 リンクを使ってCookieの中にあるユーザの識別情報を共有する場合、ユニバーサルアナリティクスが提供する「Cross Domain Auto Linking(クロスドメイン自動リンク)」という機能を使います。下記がトラッキングコードの実装例です。

「会社名.co.jp」でCookieを共有する場合(関連個所のみ抜粋、行頭は行数をしめす)

1: ga('create', 'UA-7314011-5', 'auto', {'allowLinker': true});

2: ga('require', 'linker');

3: ga('linker:autoLink', ['会社名.co.jp', '商品名.com']);

4: ga('send', 'pageview');

 順番に解説していきましょう。1行目にてトラッキングの基本設定を行います。今まで「会社名.co.jp」と書いていたところには「auto」と指定します。これは、閲覧されたページのドメイン名に合わせてCookieの有効範囲を自動的に指定するオプションです。

 例えば「www.会社名.co.jp」や「shop.会社名.co.jp」なら「会社名.co.jp」を、「www.商品名.com」なら「商品名.com」を、それぞれCookieの有効範囲と設定します。

 その後ろの「{ 'allowLinker' : true }」と書いているのは、「クエリーストリングに_ga=XXXというパラメータがあったら、Google アナリティクスのユーザ識別子を上書きする」というオプションとなります。

 2行目は自動リンク機能の有効化、3行目でユーザ識別子を共有するサイトのドメイン名を指定します。4行目は、ページ閲覧を計測するためのコマンドです。特に変更する必要はありません。

 このトラッキングコードを計測対象サイトに実装すると、ページ内に3行目で指定されたドメインへのリンクが存在する場合は、自動的に「_ga=XXXX」といったパラメータを付与してくれます。

 なお、ここで生成されたパラメータはクリックしてから2分間だけ有効なので、「このリンクをFacebookで共有したら、みんな同じユーザとして認識された」なんて心配はありません。

 ちなみに、3行目のドメイン名の配列([]で囲まれた箇所)の後ろに「, true」と指定すると、クエリーストリングではなくページ内リンク(#_ga=XXXX)でユーザ識別子が共有されます。

ページ内リンクでユーザ識別子を共有するオプション

3:ga('linker:autoLink', ['会社名.co.jp', '商品名.com'], true);

 さらに、その後ろに「, true」を付けると、リンク(Aタグ)だけではなくフォーム(formタグ)の遷移先にもユーザ識別子を共有するパラメータを付与することができます。

 大変便利なクロスドメイン自動リンクですが、サイトの内容や実装によっては正常に動作しないこともあるので、十分に検証してから本番環境で利用してください。

 詳細についてはGoogle アナリティクスの開発者サイト(英文)を参照し、自信がない場合には専門家に相談することをお勧めします。(参考情報

備考

 HTMLを直接書き換えるのではなく、リンククリック時にブラウザ内部で書き換えているため、SEOへの影響を心配する必要はありません。

次のページ
クロスドメイン計測時の流入元判定の落とし穴

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この記事の著者

海老澤 澄夫(エビサワ スミオ)

株式会社イー・エージェンシー データインテリジェンス部 技術主幹

Google アナリティクス プレミアムの販売導入・コンサルティングを担当。
詳しくはお問い合わせください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2014/06/12 08:00 https://markezine.jp/article/detail/18651

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