素早いデータ活用で過剰在庫を限りなくゼロに
最後にお届けするのは、企業におけるデータの中でもこれまで活用が遅れがちだった「テキストデータ」に焦点を当てたセッション。「これまでのデータ活用を変える!Dr.Sum EA TextOLAPとは」と題して、1stネクスパイアのシニアストラテジスト 大畠 幸男氏が講演を行った。
ウイングアークが顧客を対象に行ったアンケートによると、「BIツールに求めるもの」の1位は「レポート」機能。さらに、活用したいデータとして「販売・会計データ」を挙げる企業が圧倒的に多いという
そうした声に応える事例として、大畠氏は「Dr.Sum EA」を導入している神戸物産の事例を紹介した。神戸物産は、業務スーパーを直営・フランチャイズ含めて全国に530店を展開。主に食品を扱っているため、在庫管理には非常にシビアである。しかし、神戸物産は売上高販売管理費率が4.3%と非常に低い。これは全上場小売り企業のトップであり、神戸物産は1位を6年連続で維持している(出典:日経情報ストラテジー 2013年6月号)。
神戸物産では、食品を販売している地域別・取引形態別のデータを蓄積し、「Dr.Sum EA」を使って素早く見たいデータを引き出して在庫管理を行っている。これによって、過剰在庫を減らすことに成功。1か月あたり220人が1日に働く分の人件費と同じコストを削減することが可能になったという。
テキストデータからビジネス価値を引き出す「Dr.Sum EA TextOLAP」
こうした成果を出しつつも、大畠氏は近年、企業のデータ活用のニーズに変化がみられると指摘する。販売・会計データだけでなく、ソーシャルメディアや問い合わせの記録からも新たなビジネス価値を引き出したいと考える担当者が増えている。
データには数値(定量データ)とテキスト(定性データ)の2つがある。数値は活用できていても、テキストデータの活用はまだ着手していない企業も多い。大畠氏は、テキストデータを集計し、新たな知見を得るためにウイングアークが9月に発表した「Dr.Sum EA TextOLAP」を紹介した。
たとえば、ある食肉加工品メーカーに、メールで「ハムにこくがあっておいしかった。燻製の商品はありますか?」と問い合わせがあったとする。Excelなどを使ってこうした問い合わせ内容を管理するとき、必ずそれを分類する必要が出てくる。しかし、この問い合わせが「要望」なのか、「クレーム」なのか。担当者に任せていると分析の粒度、方向性が変わってしまう。
「Dr.Sum EA TextOLAP」では、メール本文のデータを入れると、テキストを単語単位に分割してグルーピングし、「不満が6件」「満足が1件」のように分類・集計する。問い合わせメールだけでなく、ツイッター上の顧客の声やトレンドを知ることもできる。売上データとそうした情報を結びつけることで、売上変動の理由を知ることも可能になる。
大畠氏は、「『Dr.Sum EA TextOLAP』は、売上データと同様に、テキストデータをツールに取り込むだけで簡単に気づきが得られる。これまでテキストデータを捨てていた企業に、活用のきっかけを与えるもの」と説明。「テキストマイニングツールは敷居が高い」と感じている担当者におすすめのツールと言える。今年の12月には、タブレット向けのインターフェイスも提供することが決まっており、「Dr.Sum EA」の利用シーンはさらに増えそうだ。
2020年に向けて、ウイングアークは挑戦を続ける
広い会場内には展示ブースも設けられ、ウイングアークはもちろん、パートナー企業が自社製品・サービスを紹介。多くの参加者が訪れ、活気にあふれる1日となった。
ウイングアークの多様な取り組みを紹介する一大イベント「ウイングアークフォーラム2013」のレポートの最後に、ウイングアーク代表取締役社長の内野氏の言葉を紹介しよう。
内野氏は基調講演の最後に、2020年に東京での開催が決まったオリンピックについて触れ、「オリンピックまであと7年ある。我々も何かチャレンジしたい」と述べ、ITの世界で圧倒的なスピードとパワー、技の美しさ、チームワークを追求し、進化を止めない製品を生み出し続けると力強く語った。日本企業とともに歩んできたウイングアークの「挑戦」はこれからも続きそうだ。
基調講演・セッションの模様を動画でご覧いただけます!
本記事で紹介した「ウイングアークフォーラム 2013 東京」の基調講演やセッションの模様を、動画で視聴できる「ウイングアークフォーラム 2013 on the Web」を公開中。
事前申し込み制となりますので、視聴ご希望の方は下記サイトよりお申込みください。
「ウイングアークフォーラム 2013 on the Web」
・公開期間:2013年11月20日~12月27日
・詳細とお申込みはこちらから