ブランドのメッセージを伝える、スマートデバイスならではの広告表現
―ブランディングという部分で、広告主からの要望というのはどういう点があるのか。
豊福 単純に広告をクリックしただけではブランドリフトにつながりにくいというのは、ニールセンも指摘しているところ。それに代わるブランドリフトに貢献していく広告指標を考えなければならない。
IABのRising Starsでは、インタラクションの時間やレート、いわゆる広告滞在時間や、広告の表現に対するアクションのレートなどの指標を推奨している。そうした新しい指標づくりもブランディングをやっていくうえで重要になる。今まではクリックが多く使われてきた指標だったが、スマートフォンでは、広告をクリックしてウェブサイトに飛ぶことに価値を求めるのではなく、その広告体験の場でなにができるかというところが今後求められてくると思う。

Young 米国の広告主が非常に気にしているのは、ブランドのメッセージをどう伝えるかということ。メッセージの伝え方を通じて認知や購入意欲の変更、実際の購入までも履歴で追うようになってきている。また、米国ではポストインプレッション効果を非常に重視している。IABの調査によると、デジタル広告においてリッチなクリエイティブを見せることが、その後のオンラインやオフラインでの購入に関係性があるということが数字として出てきている。
広告主が消費者に対して、ブランド想起で購入を促すためにはブランドストーリーを継続的に届けていく必要がある。ただ、そのストーリーは年々複雑になってきており、それを表現するために、Rising Starsといった新しいフォーマットや専用のKPIが必要になってきている。このような流れのなかで複雑なブランドストーリーを複数のデバイスで、かつリッチに届けるために、ブランド広告やリッチメディア広告が発展してきており、モバイルへの予算投下の割合も伸びてきているのではないか。
―最後にこれからチャレンジしたいことをうかがいたい。
Young スマートデバイスの成長には大きなビジネスチャンスを感じている。手持ちのデバイスですぐに検索できるといった、ユーザーのインタラクションを考え、広告に活かしていくことが重要であり、マーケットに対してアプローチやフォローアップをしていくべきだと思う。Crisp MediaとIABとDACは、異なる技術、知識や経験をもっている。これらをうまく組み合わせることで米国での経験を日本でも活かして仕組みづくりをしていけると思う。
豊福 ブランディング型の広告も、テクノロジーの進化によって以前よりも多くのことを表現したり、計測することが可能になってきた。このことは積極的に伝えていく必要があると思う。その取り組みのひとつとして、Crisp Mediaをはじめとするパートナーと協力しながら、IABのRising Starsのノウハウを活用し、さらなるプレミアム広告市場の活性化を推進していきたい。