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料理本のミリオンセラーを次々と生み出す「レシピブログ」、“適創適所”で人気サービスを育てる粟飯原理咲さんインタビュー


オープン初日、全ページを作り直した「おとりよせネット」

― 2003年、口コミサイト「おとりよせネット」のサービス立ち上げとともに起業されましたが、当時所属していたリクルートで立ち上げるという選択肢はなかったのでしょうか?

 先ほどの話にも通じるのですが、そこは“適材適所”ならぬ“適創適所”なんだろうと思います。これは私の造語ですが、どんなクリエーションも、そのクリエーションが生きるのにふさわしい場所がある。「おとりよせネット」を考案したとき、これはリクルートのビジネススケールには合わないなと直感したので、提案にはこだわりませんでした。

― “お取り寄せ”は今でこそ普及した言葉ですが、2003年当時はまだあまり聞かれませんでしたね。

 そうですね。当時は「何のこと?」と言われることも多かったです。でも、コンセプトには自信がありました。ネットショッピングが広がり始めると、きっと皆がYahoo!ショッピングや楽天市場に行ったときにどれを買えばいいか迷う時代が来るだろうと思ったんです。それで、目利きの意見が得られるサイトには絶対ニーズがあるだろうと。ありがたいことにその読みは当たって、初年度から黒字化しました。

― 順風満帆ですね。

 でも、サイトは立ち上げ後すぐに、全ページを作り直しているんですよ。

― 全ページですか?! それはなぜ?

 オープン初日に、お世話になっていたマーケターの先輩から電話をいただいて、「理咲ちゃん、私は全然いいと思わないよ」とガツンと言われたんです。私たちは、オープニングだからと気張って、有名な料理評論家の先生から商品への推薦を一筆いただいて、トップページに載せたんです。それが、「皆が気軽に利用できる“口コミ”サイトのコンセプトはどこへ行ったの?」と指摘されて。これには、私たちがブレてしまっていたと反省しました。自分たちが思う伝わり方と、実際にどう伝わるかは違うのだなと勉強になりました。

ユーザーが日常的に使えるポータル「レシピブログ」

― その後、2005年に料理ブログのポータルサイト「レシピブログ」をリリースされました。たくさんの人気ブロガーが生まれ、料理本も数多く出されていますが、なぜ“レシピ”に着目されたのですか?

 その年はブログ元年と言われ、各種のブログサービスが出始めていました。私は料理のブログを見るのが好きだったのですが、いろいろなブログサービスを回るのが面倒だったんです。それで、料理ブログの更新情報が一か所に集まっているポータルサイトを作ろうと思いました。

 また、お取り寄せはライフスタイルの中で頻度が高い消費行動ではないので、ユーザーとの接点は数か月に1度くらいで、それが少しさびしいなと。料理というテーマなら、毎日ユーザーとコミュニケーションを取れると考えたのです。

― オープン当時、どうやってブロガーを集めたのですか?

 それは、ラブレターです(笑)。私たちが素敵だなと思って毎日見ていた料理ブロガーの方々お一人ずつに、ラブレターのようなメールを送って、「レシピブログ」という新しいサービスに参加していただけないか打診しました。毎日、「○○さんが来てくれた! △△さんも!」と盛り上がっていましたね。

 翌年、特に人気のあったブロガー「こうちゃん」「YOMEちゃん」の本が出版され大ヒット。その後も多いものは100万部くらい、少なくとも10万部は売れるようなヒットが続いたので、出版社からもレシピブログのランキングに注目いただくようになりました。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/12/19 10:04 https://markezine.jp/article/detail/19013

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