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ジェイ・コウガミの“デジタル音楽の新潮流”

Beats Music:圧倒的な人気を誇る高級ヘッドフォンブランドが手がけた定額制音楽サービスはSpotifyを脅かす存在になれるのか?

SpotifyともPandoraとも全く違う、音楽サービス!

 Beats Musicは定額制の音楽サービスで、ユーザーは月額料金を支払えばiOsやAndroid、ウェブで約2000万曲以上の音楽を楽しむことができます。

 Beats Music最大の特徴はリスナーの気分やアクティビティ、好きな音楽など趣味嗜好に合わせて、Beats Musicスタッフがキュレーションしたプレイリストを軸にした音楽レコメンデーションを提供することです。たとえばアプリを開いて、トップに表示される「JUST FOR YOU」セクションには、リスナーがアプリ設定時に選んだジャンルやアーティストをベースに、システム側がリスナーにとって興味がありそうだと思う音楽プレイリストを次々と表示してくれます。

 また「THE SENTENCE」セクションでは気分や場所、一緒にいる人、アクティビティをリストから選び、組み合わせることで、ユーザー独自の設定(文章=sentence)が作成され、そこから浮かび上がる文脈(状況=context)に最適化されたプレイリストが再生されるユニークなレコメンデーションを実現しています。

 SpotifyやiTunesはユーザーがアーティストやアルバムを選択してストリーミングやダウンロードする、能動的に音楽と接触するサービス。一方Beats Musicのアプローチは、プレイリストやアルバムをレコメンドして聴いてもらう受動的なサービスです。したがって、使い始めた人が比較的簡単に継続できるように設計されています。

スティーブ・ジョブズとも一緒に仕事をした運営者が集まってサービスをデザイン

 これまで多くの音楽サービスは、検索やサービスプロバイダー主体のデータをもとにしたレコメンデーションを主に提供してきました。しかしBeats Musicの経営陣は、あえてマシーンではなく人間の手で選んだ最適な音楽を聴きたいときに届ける、ちょっと変わったアプローチを取っています。

 音楽の専門家が作るプレイリストであれば、「音楽をよりエモーショナルにできる」。ループのようにただ消費されていくだけの音楽体験を、リスナーが個々に違う文脈で音楽を楽しみパーソナルな想いを拡げることができるような音楽体験に変えることが、Beats Musicのコンセプトです。

 このコンセプトの背景には、他の音楽サービスでは見られないほど充実した音楽ビジネスを熟知した経営陣の考え方が反映されています。経営トップには、ヒップホップ界の大物プロデューサー、ドクター・ドレーと、元U2のプロデューサーで現在は大手レコード会社の会長を務めるジミー・アイオヴィンが座り、チーフ・クリエイティブ・オフィサーにはナイン・インチ・ネイルズのリーダーでもあるロックミュージシャンのトレント・レズナー、CEOにはかつてビースティ・ボーイズのデジタル戦略を担当していたイアン・ロジャースが就任しています。

 特にジミー・アイオヴィンはスティーブ・ジョブズがiTunesの構想を考案したとき、いち早く賛同し大手レコード会社やアーティストの同意を後押しした人物として知られ、早くからデジタル音楽の可能性を理解していた先進的な経営者の一人です。

 音楽サービスの運営にこれほどまでの音楽業界経験者が集まったことは非常にユニークで、彼らの経験からすれば、音楽ファンを知り尽くしている集団と言っても過言ではないでしょう。

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SpotifyとBeats Musicの違い

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ジェイ・コウガミ(ジェイ コウガミ)

海外の音楽とテクノロジーの動向を追いかけるブログを書いています。デジタル音楽をテーマに、Spotifyなどの音楽ストリーミングサービスや音楽サービス、新しいテクノロジー、業界の最新動向、クリエイティブなデジタルPR事例、企業の音楽マーケティングなどをいち早く日本で紹介しています。米国オレゴン大学卒。雑誌やオンラインで音楽関連の寄稿記事を書いています。

Twitter: @jaykogami
Facebook: jaykogami
ブログ:http://jaykogami.com

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2014/01/31 10:00 https://markezine.jp/article/detail/19186

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