Macy'sのオムニチャネル成功事例
2日目のキーノートで、今回のサミットの中でも非常に具体的な成功事例を示してくれたのは、米国の大手百貨店Macy'sのマーケティングアナリティクス担当Christopher Hogan氏のセッションでした。

Macy'sは、マルチデバイス化した現代のユーザーにこたえるためのオムニチャネル戦略を展開していることで知られています。ユーザーが目にするMacy's、ユーザーが触れるMacy'sはすべてひとつである必要があり、デジタルデバイスや店舗など複数のタッチポイントを超えて、ユーザーにとってひとつの最適化されたMacy'sを作っていくことが担当者としてのミッションです。
Hogan氏は、オムニチャネル戦略を実行した結果、どのような知見と成果を得たのかを紹介しました。
マルチデバイスアナリティクスとユーザージャーニーの可視化
Macy'sがデータから得た重要な知見。それは「ひとつのデジタルデバイスを活用する顧客と比べて、2つ以上のデバイスを活用する顧客は、約2倍の売り上げをもたらす」ということでした。
ここから「マルチデバイスを活用するユーザーは、どういう行動をしているのか?」をデータで可視化すること、すなわち「ユーザージャーニーの可視化」の取り組みが始まりました。
Macy'sモバイルサイトへのアクセスは3年で5倍の伸びを示したものの、コンバージョンに至る確率が、デスクトップの半分しかないことが判明しました。一見、モバイルサイトの存在意義までも再検討せざるをえないように思えますが、本当にそうなのか。オムニチャネル戦略を成功させるべく、仮説と検証が行われました。
デスクトップ、タブレット、モバイルで接触したユーザーがどれくらい購入に至っているか、どういう道のりで購入に至っているかといったユーザージャーニーを可視化することで、単純にデスクトップとモバイルの購入確率を比較するのではなく、マルチタッチポイントとしての評価を行っています。
その結果、モバイルからアクセスしたユーザーの多くは、その後、3つの主要な動きに移っていることが判明しました。
- お店を訪問している
- お店で購入している
- デスクトップ、もしくはタブレットでMacy'sウェブサイトにアクセスしている
モバイルからアクセスしたユーザーの多くは、その後、Macy'sへの接点を変えています。一度モバイルでアクセスしたことがあるユーザーが、その他のチャネルから購入に至る確率は非常に高く、マルチデバイスの中でもモバイルと接点をもったユーザーの購入率が高いことが明らかになっています。
Hogan氏によると、マルチデバイスのデータ分析結果から、Macy'sは現在オムニチャネルでのアトリビューション分析に取り組み、さらに成果を上げているとのことです。Macy'sのデータアナリティクスは組織化され、分析だけではなくデジタルマーケティングとして、ビジネスの成果につながる生きたエコシステムとして稼働しています。