情報を届ける際に強力な「インタレストグラフ」
王子田:サイボウズがプロモ商品を使用するきっかけは何だったのでしょうか?
丹野:サイボウズというと、企業向けのグループウェアを思い浮かべる方が多いと思うのですが、私が担当している「サイボウズLive」は個人の趣味のサークルなど、ビジネス以外の用途でも使える無料のグループウェアで、新規ユーザー獲得が私のミッションでした。
リリース当初はユーザーへの認知が高い壁でした。というのも、一般の方はグループウェアというもの自体を知らなかったり、知っていてもプライベートでの利用に、結びつかない場合が多い。良い製品があるのに、情報を届けられないという状況がもどかしくもありました。
そこで、Twitterのプロモツイートを利用することにしました。というのも、Twitterでは特定の趣味や興味関心でターゲティングができると考えたからです。
王子田:どのように活用されたのですか?
丹野: はじめて使用したのは2013年11月で、同人サークルをターゲットにしました。同人誌やゲーム、音楽作りはまさにひとつのプロジェクトです。だから、絶対に活用してもらえると考えたのです。まず、2種類のユーザーに情報を届けられるようにしました。1つは、有名な同人誌即売会や同人作家のアカウントをフォローしている人。そして2つ目が「コミケ」のようなワードをつぶやいている人です。そして、「サイボウズLiveを同人誌作りに使ってみよう」というWebページを作って、この人たちをプロモツイートで誘導しました。
すると、RT(リツイート)が止まりませんでした。しかも、RTの半分は広告を仕掛けていない一般ユーザーからのものでした。プロモツイートをターゲットに届けたらRTしてくれて、それを見たフォロワーがまたRTするという、いい循環が回った感じです。
編集部:Twitterならではの波及ですね。
丹野:このプロモーションで、Twitterのインタレストグラフは非常に強力だと実感しました。というのも、Twitterのユーザー同士は「同人作品が好き」という同じ趣味でつながりを持っています。だから、誰かがその関連のツイートをすると、バイラルしてゆく筋があるんです。しかも、Twitterで誘導したサイトから、サインアップした方のコンバージョン率は、通常の倍以上でした。
リリース前のゲームも「バイラルで集客」
王子田:ドリコムでは、ゲームのプロモーションに活用していただいたようですが。
松江: はい、最初は「フルボッコヒーローズ(R)」というゲームの事前登録に使用しました。ソーシャルゲーム業界は競争が激化しています。最近では、ゲームをリリースする前に、どれだけロイヤリティの高いユーザーを囲い込めるかが重要になっています。
また「リセマラ」というユーザー行動が主流化されているのを感じていました。これは「リセットマラソン」の略です。一般的にソーシャルゲームは初回開始時にランダムで、アイテムを1つゲットできます。ほしいアイテムが出るまで、アプリのダウンロードとアンインストールを繰り返す行為がリセマラです。
編集部:それは制作側の意図するところではないですよね。
松江:我々はこれを逆手にとって仕組みにしてしまおうと考えました。そこでできたのが「フライングガチャ」です。ゲームの事前登録をして、Twitter認証すると、5回までガチャを回せます。さらに、こちらが用意した文面をツイートしてもらえば追加で5回ガチャを回すことができます。
ツイート内容もゲームに合わせた文面を用意して、ユーザーが面白い、つぶやいてもいいなと思ってもらえるように工夫しました。すると、どんどんツイートされ、拡散されました。結果的に、事前登録(Twitter認証)が約10万件、ツイート数が約140万件になりました。
王子田:それはすごい。ところで今回はなぜTwitterを採用したのですか?
松江:フライングガチャは、まだゲームがリリースされていない段階で使われる事前登録メディアサービスです。リリース前はどんなゲームか分からないので、先にゲームを知ってもらうプロモーションはとても有効。そうなると、バイラルの力を使うのが一番良いという結論になりました。それで、Twitterを使うことになったんです。今回はプロモ商品を使わず、オーガニックで行ないましたが、大きな効果があるとわかったので、プロモ商品を活用しはじめたところです。
ソーシャルゲームのアイテム課金方式の通称。カプセルトイ(ガチャガチャ)のように、提供されるアイテムはランダムで決まる。そのため、アイテムを得ることを「ガチャを回す」と表現する。