映像制作持ち込み型とコンテンツ提供型、二つのパターン
松山:その事例はYahoo!映像トピックスの編集誘導枠を獲得し、Yahoo! JAPANトップページにも掲出されたので、動画ポータルに設置しているチャンネルに比べて再生回数が20倍ほどになりました。公式Facebookページと組んだTポイントプレゼント企画からの流入も大きかったですね。こうした複合的なキャンペーンができることは、メディアとしての強みです。
友澤:映像制作持ち込み型は、メディアが手がけるからこその大きな動員が見込めるということですね。では、エンゲージメントを深めるもう一つのパターンは、何でしょうか?
濱田:もう一つは、コンテンツ提供型です。これはテレビ番組を一社提供する形と同じですが、すでにある映像コンテンツと親和性の高い広告に同時に接触してもらうことで、企業やブランドのメッセージを伝え、好意を高めます。ユーザーがその提供番組に好意を持ち、定期的に訪問、視聴することにより、最終的には、その企業やブランドへの好意を高めることに繋がります。
友澤:映像コンテンツを利用する場合、どうしても著作権の問題が出てくると思いますが、そのあたりはどうクリアしているのですか?
松山:それは最初にお話ししたGyaO! の調達力にも関連しますが、そもそもGyaO! は「ユーザーの投稿コンテンツを配信する」のではなく「著作権処理されたプレミアム映像作品を配信する」日本最大級のプラットフォームであり、情報提供元と良好な関係を確立しているためスムーズに対応できています。
ユーザーの心を動かす映像の力を広告企画に生かす
MZ:メディアならではの、映像を使った広告企画の展開を伺ってきましたが、今後はインストリームやインスクロールなどのビデオ広告の一般化と同時に、こうした広告企画も増えていくという状況でしょうか?
友澤:そうですね。インストリームなどのビデオ広告は、テレビCMのリーチの補完や、テレビでもネットでも接触する重複リーチによる相乗効果が見込めます。一方で今回ご紹介したような、コンテンツとしての映像の力を生かした可能性も広がっています。
今、映像によるブランディングやエンゲージメント形成が注目されていますが、ユーザーの心を動かそうとするなら、おのずとコンテンツの文脈にまで踏み込むことになると思います。
松山:同感です。GyaO! が蓄積したさまざまなノウハウを活用することで、広告企画のクリエイティブをいちばん理想的な形で実現することができると思います。
濱田:同時に、広告主の目的や課題に応じて、映像を使った広告企画とインスクロールなど狭義のビデオ広告をうまく組み合わせられるようにもなっています。その部分はヤフーとの連携で、成功例を増やしていきたいです。
友澤:ユーザーの動画視聴習慣が広がっている今、それを追い風に、映像でどんなおもしろいことができるのかを追求したいですね。