日米の市場規模格差はなぜ生まれるのか?
では、この差が生まれている要因をいくつかの側面から考察していきましょう。
ビジネス環境
アメリカ市場ではオンライン動画広告関連の会社が数多く存在しています。その会社が提供するサービス同士が有機的につながることで、動画広告を配信するためのエコシステムができあがっています。
具体的にはYouTubeなどの動画共有サイト以外のメディアでも、動画広告を掲載できる土台ができあがっており、広告の配信先メディア増えることで広告の出稿も増えるという流れが加速しています。
次にそれぞれのカテゴリにおけるサービスの役割を整理していきましょう。
動画プレイヤー
動画プレイヤーの役割は、動画コンテンツをストレージしてWeb上へアップしコンテンツを再生するためのシステムコンテンツの出しわけや、広告の設定など動画を閲覧してもらうためには必要不可欠なツールです。
動画SSP
動画SSPはメディア側で広告ビデオを配信するためのサービスです。多くの動画専用SSPでは動画広告のアドサービング機能を搭載しており、メディアは自社商品のアドサービング用のシステムとして使用しているケースが多いです。また外部のDSPなどの広告をつなげる事もできるようになっているケースが増えています。
サードパーティアドサーバー
サードパーティアドサーバーの役割は広告主サイドで効果測定を行うことです。現在国内のおいては主にディスプレイ広告で使用されています。多くのサードパーティアドサーバーは、動画広告の配信機能を以前より保有しており。サードパーティアドサーバーの機能である、一元管理レポートやユーザーPCの持つユニークな情報に合わせたクリエイティブの出しわけ等を行うことができます。
動画DSP
動画DSPの役割はRTBを使用して動画広告を配信することです。ディスプレイ広告のDSPと同様に1インプレッション単位での配信コントロールや、クッキーを使用したターゲティング、IPアドレスを使用したジオターゲティングなど様々な設定が可能となります。
このように、アメリカでは上記のように動画広告を利用するためのシステムを提供している会社が数多くあり、それらサービスが相互に連携してエコシステムを形成しています。
広告主、広告代理店、メディアは、動画広告における自社の機能や目的に合わせてそれぞれのシステムを導入しています。アメリカでは、多数の会社がエコシステムを形成しているため、導入企業が独自の動画広告を構築することができています。この点が日米の市場規模格差が生まれる大きな要素となっています。
アメリカと比べると現在の日本は選択肢が少ない状況です。しかし、昨年よりアメリカの動画広告関連会社の日本市場への参入が相次いでおり、アメリカと同様に自社のビジネスモデルに合せてシステム導入ができる環境になってきました。
今後、日本においても自社の業態に応じて必要な機能をピックアップし、動画広告を配信またな導入する企業が増えてくると予測できます。現在の各カテゴリーごとの日本の主要プレイヤーは以下のようなサービスが挙げられます。
- 動画プレイヤー:Bright Cove、Ooyala、 Uliza、ミルビー
- 動画DSP:TubeMogul、Videology、Adap.TV
- ディスプレイDSP+動画DSP+Video DSP:Media Math 、Freak Out、Turn
- 動画SSP:Adap.TV、OVX