動画広告の配信フォーマット
アメリカではVast とVpaidという統一された動画広告フォーマットにより広告配信が行われています。各動画プレイヤーも基本的にはこの2つの規格に対応しており共通のフォーマットで動画広告を配信する事ができるため、プレイヤーごとに個別に追加開発を行う必要がなくスケーラビリティーを出すことができるようになります。以下代表的な2つの規格を紹介します。
Vast (Video Ad Serving Ad Template)
VastとはVideo Ad Serving Ad Template の略でアメリカのインターネット広告の団体であるIABがこの規格を規定しています。インストリーム広告(コンテンツの途中に広告を流すこと)向けの業界標準フォーマットで、広告サーバーからXMLでレスポンスされます。
標準化されたXMLにより、多種多様なVideoプレイヤーに対し個別で開発を行う事なく、動画広告を配信できるようになった仕組みです。インプレッション、クリック、視聴時間などの視聴情報をトラッキングすることができます(参考記事)。
Vpaid (Video Player-Ad API Definition)
Vpaid とはVideo Player-Ad API Definitionの略でVast同様にIABがこの規格を規定しています。Vastでは定義しきれない細かい機能を付与し拡張することで、インタラクティブ動画広告を配信する事を可能としています。
簡単に言えばVastにFlashをオーバーレイさせる事により、Vastでは取得できない各パーツにマウスオーバーしていた時間やAwareness rate など、ユーザーアクション情報を仔細に取得することができます。
効果計測
最後に効果計測の状況を紹介しましょう。現在仕組みが整備されはじめている状況で、一例を挙げるとニールセンがOCRというプロダクトをリリースしており、テレビ広告と同一のGRP指標を使い広告枠の買い付けができるようになってきています(参考:プレスリリース)。
またダイナミックロジックやエースマトリックスなどの、ブランドリフトを計測するためのシステムも発達している状況で、広告主が動画広告の効果を図りやすい状況が整いはじめています。
ちなみにこの動画広告の効果測定については動画広告のさらなる普及における非常に重要なファクターと言えるでしょう。ここについては国内の事例を別の回で紹介したいと思います。
アメリカでは、さらに計測だけでなくデータプロバイダーの存在やクリエイティブ関連サービスなどの仕組みも発達していきています。
日本の動向
現実的に日本のメディアにおける動画広告の利用動向は、YouTube, Ustream、Gyao(ヤフー)などの大手動画サイトに限られており、その他のメディアの動画広告の活用はまだまだ整ってない状況です。
ただ、日本においても多くのユーザーがオンライン動画の視聴を楽しみ、動画サイトに滞在しています。優良なメディアがビジネス化を見込んで動画広告関連システムを導入し、優良なビデオコンテンツを増やしていくことが可能となれば、今後、日本の動画広告市場規模は自然と拡大していくことが見込まれるでしょう。
個人的な見解ですが、日本でもエコシステムがしっかりと整えることでオンラインで閲覧できるビデオコンテンツが増える環境ができることは、ユーザーにとっても非常にメリットが大きいことだと感じます。
メディアサイドとしても、エコシステムを活用しニッチなコンテンツでも視聴さえ集まれば収益化できる環境が広がります。より多種多様なビデオコンテンツがオンラインに登場するきっかけとなるでしょう。
幸い世界的に見ても最高レベルのインターネット環境が日本には整っており、動画閲覧に対してのストレスはなくなりつつあります。その環境を生かすことができれば、新しいインターネット広告のスタイルが生まれてくるはずです。