ツイッターに「ソフトバンクにのりかえたい!」の書き込みが
友澤:なるほど。先ほど、名場面を使うと言われましたが、本編をすべてご覧になっているのですか?
高橋:見ます。作品のファンなら「このシーンは!」と話題になり、結果的にこちらが訴求したい内容が届きやすくなりますから。
明石:そういう徹底したところは、クライアントの姿勢としてすごいと思いますし、やりやすいです。
この企画ではYahoo! JAPANのトップページからオリジナルゲームに誘導したり、「ダイヤのS」をYouTubeのブランドチャンネルにもアップしたりしてリーチの最大化を図っていますが、YouTube版はわざわざ録り直しているところも徹底している点です。
アニメ本編の前に流すものは広告として短めにしていますが、YouTubeでは「ダイヤのS」自体がコンテンツなので、声優さんに同じセリフをゆっくり話してもらって尺を伸ばしています。
友澤:それは凝っていますね。効果や手応えとしてはいかがですか?
高橋:ツイッターを中心に好意的な書き込みが多く、ネガティブな意見はほとんどゼロでした。こんなに「ソフトバンクにのりかえたい」と言われた企画は初めてです。
10~20代の携帯キャリアは親世代のキャリアにひもづくので、40代以上のユーザーが比較的少ない当社はリーチが不足していたのですが、通常の学割プロモーションでのサイト訪問者とは異なる層を呼び込めました。「ダイヤのA」に意外と10代女性のファンが多かったので、結果的に10代女性に特に響いたこともよかったです。
徹底したデータ主義でPDCAを回し、効果を追求
友澤:先のYouTube用の作り替えや、「アニ☆ドル」用のビデオ広告もそうですが、コンテンツにすごくこだわられています。どういう考え方がポイントなのでしょうか?
高橋:動画に限らずどんな広告も、僕は店舗設計と同じだと考えています。まず「どこに出すか」を決め、次に面積と店員の数。パンフレットなどの販促物は最後です。広告だとクリエイティブばかり考えがちですが、出稿先やその他の要素とのバランスが大事です。
それから、先ほどアンケートの話をしましたが、徹底したデータ主義でPDCAを回していることも大きいですね。効果はすべて数字で経営層に報告しますから。
友澤:それを突きつけられるGyaOは苦労しますね(笑)。媒体社と直接、企画からかかわる広告主も珍しいですが、そうやってお互いが成長していくことでデジタルの業界が広がると思います。
ビデオ広告の可能性に真剣に取り組まれている姿勢が、よく分かりました。最後に、今後の展望を伺えますか?
高橋:GyaO! での取り組みでは、リーチや好感度に一定の効果があったので、ここから実際のコンバージョンの検証や改善をしていきたいですね。
長期的には、やはりブランド力で施策の効果も変わってくるので、コンバージョンを追いながら引き続きブランディングにも注力します。特に、コンテンツの力を使ったオウンドメディアの活用を探りたいです。お客さまに対しては、究極的には「どんな人にどういう対応をするか」が重要なので、今後も個別最適なアプローチを考えていきます。