「サイボウズ式」以前に、私が挫折を味わったもうひとつのメディア
前回は「サイボウズ式」とはどのようなメディアで、どんな成果を生んでいるかを中心にお伝えしました。TwitterやFacebook、はてなブックマークでは「参考になる」と好意的な反響が多く、書いて良かったなと思っております。
今回はサイボウズ式誕生の経緯と体制をご紹介します。
今でこそ「オウンドメディア」や「コンテンツマーケティング」の事例として紹介されることの多いサイボウズ式ですが、実はサイボウズにとってはリベンジ戦となるチャレンジでした。
2006年頃、企業がブログを使って情報発信するブームが起きました。「とりあえずチャレンジしてみよう」ということで製品プロモーションネタを中心としたコンテンツを掲載していく「ドットボウズ」というオウンドメディアをサイボウズでも立ち上げたのです。
しかしソーシャルメディアが存在しない時代。まったくPVが伸びず大苦戦しました。現在のようなRTや「いいね!」ボタンのような気軽にクチコミを広げる土壌がなく、定期的に訪れる読者はRSSリーダー経由かメルマガ登録者からの誘導のみ。結果は完敗でした……。
でも、そのときの上司との会話の中で出て来た「うちはこういうメディアと相性いい社風のはずだから、またいつかやりたいね」という言葉がずっと頭の中にありました。
社長のひとこと「それで、何が残るの?」
時は流れて2012年。「サイボウズLive」という無料のクラウドサービスの立ち上げでソーシャルメディアを活用し、その将来性を感じた私は、プロモーション部門の中にソーシャルメディア担当グループを作ろうとしていました。
TwitterやFacebookでのアクティブサポートを中心とした活動を想定していたものの、社長の青野をはじめ役員からは「それで1年間活動した後に何が残るの?」と問いかけられました。それに対する答えを出せずに悶々としていたとき、当時流行りだしていた「オウンドメディア」という言葉が目に入って来たのです
サイボウズの認知度向上というミッションを持つ私にとって、「広告とは違う、サイボウズの良さをうまく編集して記事化できるコンテンツ生産工場のような組織を作りたい」という目論みもこれならうまくいくかもしれない。さっそく私は、「サイボウズ式」の原型となる企画書をつくって再度プレゼンをしました。その企画書がこちらです。
すると、青野からは「これだよ、これ! この伝え方ならサイボウズを知らない人にも興味を持ってもらえるイメージが沸くね」と好評価をもらい、無事にスタートへと漕ぎ着けました。成果が出るかはわからない、でも少なくとも量産したコンテンツがストックされてSEO効果を生んだり、何かしらの資産となるのではないか。そんな期待がありました。それから5週間ほどでサイトは完成し、記事公開が始まったのです。