不正利用の検出やカスタマーサービスの対応改善にも
このように、すでに多くの導入企業で事業へのインパクトの大きい改善が実現されている。中西氏が実際に導入検討企業にデモを見せると、ユーザーの行動がそのまま記録・再現される様子が「興味深い」と注目されるだけでなく、トラブルの件数が定量化できることにも関心が寄せられるという。件数が定量化できると、そのトラブルを放置することで逃している金額が分かるので、現場との改善計画のすり合わせも進めやすい。
また、Tealeafはマーケティング以外にも、金融での不正利用対応や、コールセンターなど顧客窓口におけるサービス向上にも力を発揮している。ここで大きく効いているのが、リアルタイム性だ。IT部門での不正利用対応のために、北米では大手金融機関10社中9社がTealeafを導入。リアルタイムで不正な動きを検出し、自動的に口座をブロックしたり、担当者へメールしたりすることができる。
カスタマーサービスの面では、問い合わせの電話を受けながら、ユーザー本人の入力や動作などをリプレイし、解決策を的確に伝えることができる。
「画面の変遷を口頭で説明するのはとても難しく、ユーザーの大きなストレスになります。ある金融企業では、Tealeaf導入2週間で電話対応の平均時間が7%短縮し、窓口のオペレーターが対応できずにスーパーバイザーにつなぐケースが95%も減りました。顧客満足度を大きく向上した事例です」

IBMのマーケティングシステムと連携、統合的な支援を実現
Tealeafのデータは複数の部署で活用できるため、多角的に顧客体験の質を高められる。「その意味でも、企業にとっての顧客体験“管理”ができるソリューションだと位置付けています」と中西氏。
実際の導入にあたっては、ミラーリングでデータを取得するためサイトへのタグ付けは不要。現状ではオンプレミスでの利用が中心だが、企業のニーズに合わせてクラウド化も進めている。また、Shift JISコードへもこの春に対応が完了しているので、日本国内での採用に弾みがつきそうだ。
当然、モバイルサイトもサポート。モバイルでのコンバージョンまでの遷移をスムーズにするだけでなく、PC、モバイルとシームレスに使う顧客の体験も最適化できる。
今後はIBMが提供するマーケティング最適化ソリューションや、各種Webアナリティクスツールとの連携により、一貫した分析を提供して統合的なマーケティング支援を進めていきたいと中西氏。「キャンペーンの設計がどれだけ優れていても、サイトの使い勝手が悪いと効果も上がりません。あらゆるシーンで最適な顧客体験を実現する唯一のソリューションとして、Tealeafを活かしていきたいと考えています」