全国複数の拠点にて、24時間体制で広告審査
MarkeZine編集部(以下MZ):この連載では、広告主企業とのディスカッションや新サービスについてなど、基本的に“攻め”のマーケティングを掘り下げてきました。今回の「広告審査」のように、“守り”の部分について伺うのは初めてです。
鈴木:「何も起こらないこと」が大事なので、普段あまり注目されることはないですね(笑)。
MZ:確かにそうですね。でも、安心・安全な環境作りには欠かせない、縁の下の力持ちのような機能なわけですよね。まずは、組織体制から教えていただけますか?
鈴木:おおまかには、私のいるポリシー室と、竹内が管轄する審査部が広告の審査を担っています。いろいろな審査基準を決めるのはポリシー室で、それに基づいた日々の審査は審査部で、という分担です。両方で、マーケティングソリューションカンパニーが管轄するすべてのプロダクトの品質を守っています。もちろん、社内の法務や制作、システム部門とも連携しています。
MZ:規模としては、どのくらいなのでしょうか?
竹内:拠点は全国数カ所あり、運用スタッフは数百名在籍しています。システムと人の目の両方で、できる限りのチェックをしていますが、何事かあったときにすぐに対応できるように24時間体制で運営しています。新しい手法が出てきたら、すぐにポリシー室に共有して、ガイドラインの即日変更も含め、その都度対応しています。
ネットユーザーを守るには、人の目が欠かせない
MZ:けっこう規模が大きいのですね。そして、スピードも速い。
竹内:検索連動型広告のスポンサードサーチだと、毎日の入稿が膨大になる場合もあります。適切に審査ができるように、常日頃からシステムを強化しつつ、その審査で判断できなかったものについては、分厚いルールブックを引きながら人の目で確認しています。
鈴木:どうしても、人の目も欠かせないのですよね。私たちの仕事は「ネットユーザーを守ること」をいちばんの目的としているので、フィッシングやマルウェアなどに誘導される悪意のある広告を排除するのはもちろん、虚偽や誇張を避けることや、不快感を与えないというのも大事です。そうすると、やはり人の目が重要になってきます。
MZ:不快感、というと?
竹内:例えば画像広告だと肌の露出や目などの局部アップなど、不快と感じる尺度は個人の感じ方によりますので、線引きは難しいですね。下着メーカーやコンタクトレンズメーカーなど商材によって必然性があるのは理解していますが、お子様から大人の方まで幅広い年代や性別を問わず、また日中や真夜中などの時間帯で見てもユーザーの方に不快感がないように心がけています。ユーザー目線での基準が必要になりますので、ソーシャルメディアの意見なども参考にしています。
MZ:なるほど。そのあたりは、今現在の世の中の感覚を捉えるのが重要になってきますね。
鈴木:そうですね。そういう場合は、営業やサポートを通して広告主様へきちんとした対応をしています。